知的財産ニュース 本人が使っていた商標、他人が先に登録したら?

2021年4月27日
出所: 韓国特許庁

先使用権制度を覚えましょう!

「事例」

  1. マグロ店の「A」は、マグロの解体ショーの動画をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して有名になり、店は多くの客でにぎわっていた。その中で、ある人から「A」の商標を登録したため店の名前を変えるか、使用料を払わなければならないという警告状を受け取った。
  2. 弁当業者の「B」は商号を登録し、キリンの図形とその下に「B co.Ltd」という小さい文字を記載したロゴを付着し販売した。その後、ママ向けのコミュニティーサイト、ブログなどでは「キリン弁当」で話題になったが、ある日、ある人から「B」の商標を登録したため、これを使用する行為は商標権侵害に該当するという警告状を受け取った。

韓国特許庁は、誰かが先に商標登録をしたとしても、これまで使い続けてきた商標や商号の使用が全て禁止されるものではないと明らかにした。

商標法は、特定の要件を備えて商標を使用する善意の先使用者を保護しているため、それに該当するかどうかを確認する必要がある。

つまり、その登録商標が出願される前から不正競争の目的なしに使用してきた結果、(1)当該分野(需要者・取引社会)によく知られているか、または(2)「商号」として使用する場合には、「善意の先使用権者」として継続して使用することができる。

一方、「商号」は「商人が営業活動をする際、自分を表示するために使う名称」のことをいい、商号を所定の要件に従って使用する場合には、他人の登録商標と類似していても商標権侵害に該当しない場合がある。

つまり、「人格の同一性を表示する商号」を商取引の慣行に従って不正競争の目的なしに登録商標が出願される前から使用してきたのであれば、他人の登録商標を侵害する行為にならない。

「関連判例」

  • 判例番号:韓国大法院1995年9月29日宣告94ダ31365判決
ドンソンマンションのハングル商標

原告会社が「ドンソン」という商号をマンションの壁面にサービスマークとして使用したのは、被告会社がサービスマークを登録する以前からのことであり、この事件において両サービスマークの類似性や営業目的の類似性、営業活動の地域的隣接性などにもかかわらず、原告会社に、登録された被告会社のサービスマークの信用を利用して不当な利得を得ようとする意思があったとは見なしがたい。そのため、これは被告会社の登録されたサービスマーク権の権利範囲に属しないため、登録されたサービスマーク権の侵害に該当しない。

ただし、これらの先使用権は、紛争の初期には効果的に対応するのが難しいという限界がある。先使用権は、商標権侵害の可否を最終判断する訴訟の段階で議論される場合が多いのに対し、商標権者は他人の商標使用に直ちに制裁を加えられる手段(捜査機関に告訴状提出、使用差止請求権)があるからである。

また、「先使用権」が認められても、他人の使用まで禁止することはできない。つまり、先に出願して商標権を取得してから初めて他人の使用を禁止させるか、損害賠償を請求する積極的な権利行使が可能になる。

特許庁の商標デザイン審査局長は「本人が使っていた商標を他人が登録した場合、所定の要件を備えた場合に限って使用することはできるが、積極的に権利を行使することはできない」という点を指摘し、「安定的な事業運営のためには、事業の開始段階から商標登録を行い無駄な紛争に巻き込まれないことが重要である」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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