知的財産ニュース 国民の目線に立った「知的財産審査・審判」サービスの導入
2020年7月30日
出所: 韓国特許庁
特許庁、「知的財産審査・審判分野における倫理観向上対策」
▶職務関連事件弁理士の推薦・紹介行為の禁止、弁理士公務員の縁故関係を活用した営業禁止▶国民参加審判の活性化、大韓弁理士会との業務協約の締結など14の細部推進課題
今後、韓国特許庁公務員はユーザー(職務関連者)に弁理士・特許法律事務所の推薦や紹介行為ができず、また、弁理士(審査・審判事件の担当)も公務員との縁故関係を活用した営業活動を全面的に禁止する。
また、審判事件に対し一般国民の参観を拡大し、技術専門家が手続きに参加できるよう国民参与審判制度を導入する。
特許庁は知的財産審査・審判の公正性・透明性を高めるためにこのような内容を盛り込んだ「知的財産審査・審判分野における倫理観向上対策」を7月30日に発表した。
【政策推進の背景】
特許庁は最近、社会全般の公正性改善に対する国民の高くなった目線を反映し、これまで不公正だと認識できなかった審査・審判の慣行や制度を、国民の目線で客観的に探り、隘路および不便さを、先制的に実行性を持って改善するために対策を講じた。国民の要求、政府レベルでの公正政策の取組みなどに鑑み、知的財産審査・審判業務の公正性・信頼性を高めるための対策に取り組む方針である。
今回の対策は、「国民の目線に立った知的財産審査・審判サービスの提供」という目標を持って、(1)制度改善分野、(2)インフラ改善分野、(3)疎通・協力分野など3大分野14の細部課題を重点的に取り組む。
特許庁と大韓弁理士会は2020年6月に懇談会を開催し、公正かつ透明な知的財産エコシステムの造成のための相互協力策を模索することと決め、今回の対策はそれによる後続措置として具体的な実践案を設けた。
1.制度改善を通じて知的財産サービスの公正性および信頼性を高める
知的財産審査・審判事件を担当する弁理士が特許庁職員との縁故関係などをユーザーに知らせるか、またはこれを活用した営業活動を事前に遮断するために弁理士法の改正に取り組む。
知的財産行政の公正性確保に向けて特許庁公務員が自分の職務と関連する特定の弁理士および特許法律事務所を推薦・紹介できないように特許庁公務員の行動綱領を改正する。
また、審査官・審判官および弁理士の倫理規定の強化、審判制度で運営中の回避制度を審査分野まで拡大し、審理終結の予定通知以降3ヵ月以内に審決処理するよう制度を改善する。
2.インフラ改善を通じて審査・審判の透明性および品質を高める
新型コロナウイルスの影響により審査・審判事件に対する非対面の面談が拡大される状況において、ユーザーが場所に縛られず自宅および事務室で映像面談ができるようオンライン映像面談システムを活用した面談を拡大する。
「審査・審判品質委員会」を構成し、終結された主要事件に対する共同分析、政策提言などの役割を果たし、審査・審判サービスの品質向上に取り組む。
この他にも、審判口頭審理・説明会のオンライン中継の導入および事件進行情報のリアルタイムフィードパック強化を通じて透明性を高め、審査官用のビッグデータ活用システムも構築し、技術の専門性も強化する。
3.疎通・協力により国民参加の拡大および官民協力を強化する
国民の関心が大きい主要審判事件に一般国民が参観し、技術専門家が参加できるよう国民参観の拡大、専門審理委員制度の導入に取り組む。
審判事件の口頭審理を段階的に拡大し、査定系(※)審判事件にも口頭審理を試験的に導入して審理課程の公正性と透明性を高める。
※特許庁審査官の拒絶査定に対しユーザーが不服して審判院に審判を請求する事件
大韓弁理士会および韓国知識財産協会(KINPA)と公正な知的財産文化造成のための業務協約を締結し、官民の倫理パートナーとしての役割を果たすための教育および支援も強化する。
特許庁次長は、「公正かつ透明な審査・審判行政は知的財産行政の信頼度向上および健全な知的財産エコシステムの発展の礎」であるとし、「今回の対策を礎に、知的財産(IP)業界との常時疎通を通じてユーザーが体験する政策を持続的に発掘していく」と述べた。
また、「審査・審判行政の全過程に国民の参加を拡大するなど、手続きの透明性を強化する方向に既存の枠を果敢に革新していく」と強調した。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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