知的財産ニュース 臨場感あふれる拡張現実アプリに関する特許出願が活発

2020年11月3日
出所: 韓国特許庁

  • 新型コロナ以降の時代をけん引する主要技術の一つとして拡張現実が注目を浴びている中、拡張現実アプリケーションに対する特許出願が持続的に増加している。
  • 拡張現実(Augmented Reality、AR)とは、現実環境に仮想物体を合成した画像をリアルタイムで提供し、まるで実際の空間に物が存在しているかのように見せる技術である。拡張現実がモバイルアプリケーションに適用されれば、消費者が店舗を直接訪れなくても、スマートフォンのカメラで家の中を撮影しながら画面に購入したい家具や家電製品を所々に配置してみて、製品の機能も事前に体験できる体験型バーチャルショッピングが可能になる。

韓国特許庁によると、ここ5年間拡張現実アプリケーションに関連する韓国国内での特許出願は、2015年124件、2016年152件、2017年248件、2018年307件、2019年334件で毎年着実に増加していることが分かった。

出願人類型による出願件数をみると、中小企業42.7%、個人31.3%、大企業13.6%、大学8.3%、研究機関3.9%の順であり、応用分野別では教育、旅行、展示などのコンテンツサービス分野が55.9%で最も大きい割合を占めており、それに次いでマーケティング、購買などのショッピング分野が30.2%、建設、製造などの産業分野が7.1%を占めていることが分かった。

このように拡張現実アプリの特許出願が活発である理由は、2017年の「Pokémon GO」のような拡張現実ゲームが世界的な人気を得てビジネスで大成功を収めた事例が登場したことから、企業が拡張現実市場に興味を持ち、さまざまな分野で新たなサービスの発掘と技術開発に集中した結果であると分析される。

また、移動通信技術の発達によって大容量の映像データを早いスピードで処理することができるほど、最近スマートフォンの機能が向上された。そしてGoogleやAppleがスマートフォン向けの拡張現実開発ツールを発売して、簡単にアプリケーションを製作できるようになったため、開発へのハードルが低くなったことも特許出願の増加傾向の主要要因であると把握している。

特許庁の電子商取引審査課長は、「これまで拡張現実の技術はゲームや放送など、一部の分野に限って活用されてきたが、新型コロナの影響により非対面サービスへの需要が増え、ショッピングや旅行のような日常生活の分野に適用する範囲が広がっている」とし、「これから市場競争が本格化されると、拡張現実技術に対する特許出願がさらに増加すると予想されるため、優秀な技術の開発とともに、開発の初期段階から中核技術を特許化する戦略を策定することが重要である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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