知的財産ニュース 特許庁、「知的財産取引の活性化対策」を発表

2020年10月29日
出所: 韓国特許庁

関係部処合同で第116回「国政懸案点検調整会議」を開催

韓国特許庁は、10月29日(木曜)午前8時30分、国務総理の主宰で開催された、第116回国政懸案点検調整会議で、「知的財産(IP)取引の活性化対策」を発表した。

第四次産業革命によるデジタル化時代において、異なる技術の融合と外部の技術獲得を通じての急速なイノベーションが求められており、知的財産取引の重要性が増している。

韓国はGDP比R&D投資における世界1位の国であり、年間22万件の特許が出願されている世界4位の知的財産大国である。

しかし、政府R&D予算の70%を使用している大学・公共研究機関の技術取引規模は、米国大学の6%台に過ぎない(※)実情である。

※大学・公共研究機関の技術取引規模(産業通商資源部、AUTM、2018):韓国1,897億ウォン、米国3兆2,000億ウォン

そこで特許庁は、知的財産の取引市場を活性化し、取引環境を改善するための3大戦略と12課題を確立した。

今回の対策の主要内容は次のとおりである。

1.民間仲介機関を育成して取引システムを構築する

知識財産取引所(韓国発明振興会所属)が潜在性のある民間取引機関を選定して、知的財産取引における全過程を一緒に進行しながら、コンサルティングノウハウを伝授して専門性を持つ民間取引機関に育成する。(今後5年間で36の専門機関を育成)

R&Dの初期段階である先行技術(特許)検索段階で、すでに開発された特許を取引し、急速なイノベーションが行われるように、特許検索サービス(KIPRIS)に「取引希望」ボタンを配置することで、知的財産の取引に誘導する。

消費者が提案したアイデアを企業が購入する「アイデア取引プラットフォーム」を構築し、些細なアイデアでも活発に取引される環境を造り、随意契約と入札を結合した方式(※)のIP入札制度の導入を推進する。

※随意契約方式と入札方式を結合した方式であり、買収希望者と仮契約を締結した後、その内容を公開し応札者がいなければ契約確定、応札者がいれば提示した最高価格と同じ価格で買収希望者が優先的に買収することが可能

2.知的財産取引の需要を創出する

技術保証基金、韓国発明振興会、韓国特許戦略開発院、国防科学研究所など取引と関連する公共機関が協力体系を構築し、各機関の強みを組み合わせた協力型の知的財産取引を推進する。

ファンドオブファンズを活用して大学・研究所から特許を受けた企業に投資する知的財産取引支援ファンドを造成(2021年1,200億ウォン規模)し、知的財産取引の需要を創出する。

企業が希望する後払いの経常実施料方式のIP取引が拡大できるように、標準契約書と会計精算サービスなどを支援する。

3.知的財産取引に向けたインフラを構築する

移転された特許を独占的に使用できる専用実施方式のIP取引を活性化し、大学・公共研究機関が放棄しようとする特許を発明者に移転し、事業化のための取り組みを続けられるようにするなど、知的財産取引を活性化するための法律と制度を改善する。

部署毎に分散管理していた知的財産取引の情報を連携して準拠DBを設け、知的財産取引市場への参加者にカスタマイズ型の教育と交流機会を提供する。

また、知的財産が市場でまともに価値を認められるように、知的財産の保護体系を強化する。

※特許侵害における損害賠償制度の改善および商標‧デザイン‧不正競争行為に拡大、特別司法警察の強化など

今回の対策により、知的財産を取引するための市場条件と法・制度的な環境が改善され、今後の知的財産の取引が活性化され、韓国企業の技術競争力の向上にもつながると期待される。

特許庁長は、「R&Dの成果物である知的財産は、企業などの需要者が利用するとき、初めて意味を持つようになる」と述べ、「研究開発の成果がイノベーションに向けた成長エンジンとしてうまく活用できない、「コリアのR&Dのパラドックス」を解消するために、今回の対策が貢献できることを期待している」とコメントした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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