知的財産ニュース 特許庁、海外知識財産センター(IP-DESK)企業支援の優秀事例集を発刊

2020年8月10日
出所: 韓国特許庁

輸出企業の知的財産権保護戦略、知れば知るほど見えてくる

ベトナムに化粧品生産工場を建て、現地での営業を準備していたAさんは、商標とデザイン出願のため悩んでいる。ベトナムの営業先が知財権を要求していないため、すぐには必要ないと思っているが、ベトナム語の出願手続は複雑すぎて、信頼できる現地の代理人を探すこともどこから始めていいかわからない。他の仕事だけでも忙しいのに、Aさんはどうすればいいだろうか?

韓国特許庁とKOTRA(大韓貿易投資振興公社)は、Aさんのように海外知的財産権について明確に分かっていない輸出事業者が権利確保と保護の重要性を理解し、適切に対応できるようにするために「海外知識財産センター(IP-DESK)(※)企業支援の優秀事例集」を発刊した。

※9ヵ国(中国、タイ、ベトナム、米国、ドイツ、日本、インド、インドネシア、フィリピン)に設置し、現地で発生する知的財産権に関する隘路事項の解決を支援

事例集には、中国、タイ、ベトナム、米国、ドイツ、日本、インド、インドネシアの8ヵ国のIP-DESKで、ここ2年間、韓国企業が海外知的財産権を確保して保護するために、現地で支援した事例を収録している。

新製品の発売に向けた実用新案・デザインの出願戦略、商標登録後の管理要領、悪意を持った現地での商標の無断先取り、特許・商標・デザイン権を侵害した製品の現地での流通、オープンマーケットに出店した後の警告状の受領、中文商標の別途製作など、海外知的財産権に関して発生し得るさまざまな状況とIP-DESKを通じた対応支援プロセスを詳細に説明した。

事例集を通じて各企業の状況や紛争相手の特性などによる、さまざまな対応方法を参考にすることができる。

一例として、中国で自社の商標を無断先取りされたH社は、先取りした者の悪意性を立証し、無効審判で勝訴して商標を使えるようになった。一方、ベトナムで現地のバイヤーが相談せずに商標を先取りした状況でP社の場合、審判・訴訟するより費用を払ってその商標について速やかに譲渡を受ける方法を選んだ。

また、タイでのデザイン侵害製品の流通については、E社はタイに登録したデザイン権に基づいて、侵害企業に警告状を発送し、合意書を作成して侵害企業の在庫回収および製品設計の変更を成立させた。一方、ドイツの展示会でデザインを侵害した製品を発見したJ社は、現地でのデザイン権を持っていなかったため、直接制裁することはできなかった。欧州でのデザイン出願ができる期限も徒過している状態だったため、その代わりに実用新案を出願して、その製品の侵害再発を防止することにした。

特許庁の産業財産保護支援課長は、「知的財産権の紛争は、適期を逃さずどのような方式で対応するかによって結果が大きく異なる」とし、「紛争が発生した際には9ヵ国に設置されている、IP-DESKに即時に相談を要請するなど、特許庁の海外知的財産権保護支援事業を有用に活用してほしい」と述べた。

一方、この事例集は、KOTRAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます内の海外市場ニュース>報告書のメニューからダウンロードすることができる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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