知的財産ニュース 治療目的の向精神薬も特許権の存続期間延長が可能となる

2020年7月13日
出所: 韓国特許庁

特許法・実用新案法施行令の一部改正令を7月14日から施行

韓国特許庁は、特許権の存続期間の延長対象に食品医薬品安全処(以下、食薬処)から品目許可を受けた麻薬類医薬品を追加するなど、特許権および実用新案権の存続期間の延長制度を改善し、7月14日から施行すると発表した。

特許が登録されている場合、その特許権の存続期間は、原則として特許出願日から20年までであり、その後は、特許権が消滅し誰もが自由に実施することができるようになる。

しかし、医薬品や農薬を製造・販売するためには、食薬処または農村振興庁で別途の品目許可・登録手続きを行わなければならないため、関連特許を受けても許可・登録のために待機する期間の間には、その特許技術を使用することができなく、相対的に特許を実施できる期間が短縮されるという短所がある。

したがって、特許庁では5年の範囲内で品目許可や登録にかかった期間だけ特許権の存続期間を延長する制度を運営しており、これまでの対象は、「薬事法」に基づいて食薬処で品目許可を受けた医薬品と「農薬管理法」に基づいて、農村振興庁に登録された農薬・原料に定められていた。

しかし麻薬性鎮痛薬などの医薬品は、製造・販売の際「麻薬類管理に関する法律」に基づいて、食薬処で品目許可を受けるようにしているにもかかわらず、このような特許権の存続期間の延長対象に含まれておらず、制度的な公平性に反するという意見が多かった。

そのため特許庁は、麻薬類医薬品の品目許可に時間がかかった場合にも、特許権の存続期間を延長できるように特許法施行令を改正し、改正規定は、2020年7月14日以降に特許権の存続期間の延長登録出願をする件から適用される。

一方、今回の特許法・実用新案法施行令の改正には、特許庁の審査遅延により特許権・実用新案権の存続期間を延長する場合、延長から除外する期間の細部基準を調整する内容、他国と合意された微生物寄託機関を認定する内容も含まれている。

特許権または実用新案権の設定登録が基準日(特許出願日から4年または審査請求日から3年のいずれか遅い日)より遅れた場合には、超過した期間だけ特許権・実用新案権の存続期間を延長することができるが、審査過程で、出願人により遅延された期間がある場合は、その期間は、存続期間の延長期間から除外される。

この制度は、特許審査が過度に遅れる場合、特許登録が遅れて特許権の存続期間が短縮される期間を補償するためのものであり、米韓自由貿易協定(FTA)に基づいて2012年に導入され、出願人による遅延期間の種類は、各国の特許制度に合わせて国内法に規定している。

韓国は出願人により審査が遅延した49のケースを法令として規定しているが、出願人が審査に必要な書類を提出しなかったため審査が遅延された期間など、出願人により遅延された期間の一部が規定から欠落していて、その期間を特許権の存続期間の延長期間から除外できないという問題があった。

それを受け特許庁は、存続期間の延長制度の趣旨に合わせ、該当規定に入っていなかった期間を補充することで、出願人が十分努力をしたにもかかわらず、審査が遅延した期間だけ特許権・実用新案権の存続期間を延長できるように改善した。

また、外国に微生物に関する特許を出願する場合、外国との協約などを通じて指定された寄託機関に微生物を寄託できるようにするために、韓国で認定する微生物寄託機関の種類を追加した。

従来は外国に微生物特許を出願するためには、国際条約(※)に加入された国の場合には韓国国内にある国際寄託機関(IDA)(※※)に微生物を寄託したが、条約に加入していない国には、微生物を直接 寄託しなければならなかった。

※「特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約」(1980年8月発酵)
※※ブダペスト条約に基づいて、韓国政府の保証により国際寄託機関(International Depository Authority)としての地位を取得した機関(韓国生命工学研究院の微生物資源センター(KCTC)、韓国微生物保存センター(KCCM)、韓国細胞株研究財団(KCLRF)、農村振興庁農業遺伝資源センター(KACC)の4ヵ所)

このような過程で、海外に微生物を輸送して寄託するコストがかかるため、韓国企業の立場では、台湾、タイなどの国際条約に加入していない国に微生物の特許を出願することに負担があったが、これから国家間の協約に基づいて、韓国に指定される寄託機関を利用するようになれば、該当国に特許出願をする場合、相当なコスト削減の効果があると期待される。

<主要国の微生物寄託機関の寄託費用> (単位:万ウォン)
韓国 米国 日本 中国 ドイツ 台湾 タイ
寄託費用 80〜90 290 190 50 110〜185 145〜200 120

特許庁の特許審査企画局長は、「今回の特許法・実用新案法施行令の改正により、麻薬性鎮痛薬など治療のためのいくつかの医薬品が特許存続期間の延長を受けられなかった問題を解消し、海外に微生物の特許を出願しようとする出願人がより便利で安全に微生物を寄託するようになるため、関連産業に役立つものと期待している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、徐(ソ)、權(クォン)(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195