知的財産ニュース 知的財産に投資する時代が開かれる

2020年7月2日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁、「知的財産金融投資の活性化推進戦略」を発表

2024年まで知的財産投資市場を1兆3,000億ウォン台に育てる計画

▶大学、公共研究機関の特許収益化にかかる投資事例
国内A研究所は2017年12月に特許の海外収益化のために機関投資家から18億ウォンの投資を誘致した。A研究所はWi-Fi、LTEなど通信分野の標準特許プールを基盤に、海外において多国籍の通信企業らとロイヤルティ交渉を行って収益を得て、機関投資家らに1年8ヵ月過ぎた2019年8月に投資金の3倍である54億ウォンの収益を配分した。該当事例は国内の研究機関が開発した特許を基盤に、海外において収益化して投資家に収益を与え、巨額の外貨を獲得して知的財産権貿易収支の改善にも寄与したという点で意味がある。

▶ スタートアップ企業の事業化投資事例
植物別のカスタマイズ光源装置の特許技術を保有していたが、資金不足により事業化が難航していた創業2年目のスタートアップB社は、2018年12月に保有の特許技術に対する価値評価を基に10億ウォンの機関投資を成し遂げ事業化資金を確保した。その後既存のスマートファーム技術の限界を克服した成果を認めてもらったB社は、2020年1月に米国CES(消費者家電展示会)に招聘されイノベーション賞を受賞した。その後バイヤーからの問い合わせが殺到し、海外市場へ進出することになった。

韓国特許庁は2020年7月2日に国務総理主催の第109回国政懸案点検調停会議において「知的財産(IP)金融投資(※)活性化推進計画」を発表した。

※知的財産金融投資:特許権など知的財産そのものに直接投資してロイヤルティ、売買、訴訟などにより収益を追求する投資形態

今回の推進戦略は新型コロナウイルス事態により苦戦している韓国経済に知的財産金融投資という新たな投資方式を提示することにより、イノベーション企業の創業と成長を支援するなど、韓国経済に新しい活力を吹き込むために計画された。

知的財産権はイノベーションの集約体そのものとしての価値を持ち、米国など先進国では有望な投資対象として活用されているが、韓国ではまだ知的財産投資市場がまともに形成されてなく、投資対象という認識も低い実情である。

これを受けて政府は国内知的財産金融投資市場を活性化するために金融委員会などの関連部処合同で4大戦略と14の細部課題を発表した。

推進戦略の主な内容は次のとおりである。

1.知的財産投資市場に良質の知的財産権を供給する。

特許審査官が推薦するほか、政府の知的財産支援事業を通じて投資有望特許に関する情報を民間に提供する。

大学と研究所の収益化を中心に特許経営を奨励するために特許設計を支援し、特許品質経営優秀機関を選定する。

大学と研究所が国内または海外において出願・維持を放棄した特許を発明者に譲渡して潜在性のある特許の死蔵を防ぎ、法人でないファンドも特許権などを直接所有できるよう許容するなど、特許収益化に関する法制度を改善する。

海外出願のためのファンドを拡大するなど、中小企業などの海外権利の確保支援を拡大して知的財産の収益性を高める。

2.投資家の性向に合う多様な知的財産投資商品を販売する。

政策資金(マザーファンド特許勘定及び文化勘定)を活用して、知的財産そのものに対し投資する専用ファンド(2020年の特許勘定は400億ウォン、文化勘定は260億ウォン)を新設し、安定的な特許ロイヤルティのキャッシュ―フローに基盤した「安定型ファンド」と未来の技術移転・訴訟の期待収益に基盤した「収益型ファンド」など投資家の性向に合う多様な民間知的財団投資ファンドが組成されるよう支援する。

一般の個人投資家が直接知的財産に投資できるクラウドファンディング(※)型の知的財産投資商品を発売し、知的財産権の流動化(※※)投資商品をモデル事業として推進する。

※資金需要者がオンラインプラットフォームを通じて多数の大衆(クラウド)から資金を集める方式
※※取引し難い資産を証券に転換した後に取引して現金を確保する方式

3.投資商品への資本流入を誘導する。   知的財産金融投資を奨励するためにベンチャー投資の税制優遇を知的財産投資にも適用(※)して個人投資家及び信託会社が保有した知的財産権の年次登録料の減免(※※)も推進する。

※(間接投資)ベンチャーファンドを通じたIPプロジェクト投資の際に10%の所得控除、(直接投資)IPプロジェクトに個人が直接投資する場合、最大100%まで所得控除が可能
※※個人投資家・信託会社保有の知的財産権の年次登録料を50~70%減免

知的財産担保に対する質権設定手数料の体系を改善*して知的財産金融を施行する銀行の負担を軽くし、動産・売上高債権・知的財産権など企業の多様な資産を一括して担保に設定する一括担保制度を導入する。

4.市場親和的な投資基盤及び底辺を構築する。

知的財産金融センター(電話:1544-1056)を設置し、国民が知的財産で資金を調達できる方法について総合相談を受けられるようにする。

知的財産の価値がまともに認められ、正当な費用を支払う経済システムが定着されるよう侵害訴訟損害賠償額を現実化(※)するなど投資親和的な知的財産保護環境を構築し、紛争調停制度の実効性を高め、中小企業などが経済的に大きな負担なしにライセンシング交渉などの特許収益化ができる環境を造成する。

※(既存)特許権者の生産限度までのみ損害として認めて賠償 →(改善)既存+特許権者の生産限度超過分に対しては合理的なロイヤルティを徴収

金融研修院、ベンチャーキャピタル研修院、金融投資教育院と弁理士教育課程に知的財産金融課程を追加するなど、知的財産金融専門人材を養成し、国際知的財産仲介業者・投資企業らの韓国進出を誘導して知的財産金融関連の国際的ネットワークも構築する。

政府は今回の計画を通じて今後5年間のIP金融投資規模を1兆3千億ウォン規模に成長させ、知的財産金融ビジネスという新産業を育成して、技術イノベーション型の2万個の職場を創出するなど経済のイノベーションを支援する計画である。

韓国特許庁長は、「知的財産は、新しいアイデアを持つ者であれば、公平な過程を経て誰もが獲得できる21世紀型の資産」であるとし、「今後、知的財産を保有した個人と企業が、もっと簡単に資金を融通し成功できるように特許庁は支援を惜しまない」と明らかにした。

一方、この日に発表した新型コロナウイルスの状況を鑑み、KTVユーチューブライブを通じて非対面でブリフィングを行った。

[添付] 参考資料PDFファイル(666KB)

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