知的財産ニュース 不正競争防止法に係る制度改善委員会の開催

2020年5月27日
出所: 韓国特許庁

「第1回不正競争防止法制度改善委員会」を5月26日(火曜)に開催

韓国特許庁は、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下、「不正競争防止法」)に係る制度改善委員会を、5月26日(火曜)の午後4時に特許庁ソウル事務所(ソウル江南区)で開催すると発表した。

不正競争防止法は取引秩序に反する不正競争行為を防止するとともに、営業秘密の保護を強化する方向へと数回に渡り改訂したが、直近では、中小企業の技術保護のために、これまで特許権などで保護を受けることが難しかったアイデアの奪取を不正競争行為として規定して保護し、また、営業秘密侵害に対する刑事処罰のレベルを強化するなどの新しい変化があった。

直近の主な制度改善内容
〇営業秘密保護強化のための侵害類型の拡大および処罰レベルの上昇(2019年7月施行)
-厳格な営業秘密の秘密管理性についての要件を緩和し、中小企業の営業秘密などの保護を強化
*「合理的な努力によって秘密に維持された」→ 「秘密として管理された」
-「営業秘密の返還・削除の要求に不応」など4つの類型を刑事処罰対象に追加
-営業秘密侵害犯罪の処罰レベルを大幅に強化して技術流出を抑制
*(国内流出)5年/5,000万ウォン以下 → 10年/5億ウォン以下、(海外流出)10年/1億ウォン以下 → 15年/15億ウォン以下
〇アイデア奪取行為など不正競争行為を新設し、調査・是正勧告の導入(2018年7月施行)
-入札、取引相談、取引提案、公募展などの取引過程において、大企業などの優越的な地位を利用した技術・アイデア奪取行為を禁止し、下請負法など既存の法律で保護できない領域を解消
-看板、インテリア、サービスの提供方法などトレードドレス(営業の全体的な外観)模倣行為の禁止
-損害賠償・禁止請求だけでなく、特許庁の調査・是正勧告を導入して被害を迅速に救済
〇故意的な営業秘密侵害時の損害賠償額を拡大する3倍賠償制度の導入(2019年7月施行)

最近、AI技術の発展によりビッグデータの産業的活用価値が浮上しており、K-POPなど韓流の影響力の増加に伴い、歌手の名前や肖像などを無断で使用する行為が拡大され、産業界などを中心に他人が収集したビッグデータを不正に使用する行為の制裁や有名芸能人の肖像をパブリシティー権で保護する必要性があるという意見が持続的に提起されている状況である。

これを受けて、特許庁は十数名の学界・法曹界・産業界の専門家で構成される「不正競争防止法制度改善委員会」を通じて、多様な現場の意見を反映する改善方策を策定する予定であり、特に、去る20日に特許侵害に対する損害賠償額を現実化する特許法一部改訂法律案(パク・ボムケ議員代表発議)が国会の本会議で議決されたことにより、営業秘密侵害に対する損害賠償額現実化の必要性に対しても深度のある議論が行われる見込みである。 制度改善委員会は、不正競争行為に対する是正勧告を履行しない者に対する是正命令の導入、資料提出命令制度の強化、有名人の肖像やビッグデータの不正使用など新類型の不正競争行為の規定、営業秘密侵害に対する損害賠償制度の改善などを含む8つの議題について取り扱う計画である。

特許庁の産業財産保護政策課長は、「産業構造が変わり、市場が複雑化して不正競争防止法の重要性がますます大きくなりつつあるため、争点事項を均衡の取れた視覚から検討して改善方策を策定する」とコメントした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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