知的財産ニュース デザイン紛争、「産業財産権紛争調停委員会」で、速やかに解決

2020年5月8日
出所: 韓国特許庁

◆申請者A(デザインの権利者)と被申請人Bは、ファッション雑貨を販売するオンラインショッピングモールの運営者で、AはBがAのデザインDを模倣した製品をネットで販売していることを確認した後、Bをデザイン保護法違反で刑事告訴する一方、「産業財産権紛争調停委員会」に侵害禁止・損害賠償などを求める内容で調停申請

‐調停部は、BがAに和解金(Aの要求額の100%)を支払い、模倣デザインの製品を廃棄するとともに、今後同一な侵害行為に対する違約金を約定することを条件に、AがBを相手に提起した刑事告訴を取り下げすることを勧告して調停が成立した。

模倣デザインバックの比較写真

アパレル業界、生活用品業界など、幅広い分野において全体的な外観は似ているが、デザイン「侵害」だと判断する基準が曖昧な模倣製品が頻繁に現れている。デザイン紛争は、デザインの類似性判断が難しく、訴訟に長い時間がかかるため、訴訟で救済を受けるのが現実的に容易ではない。

特にバッグ、衣類やインテリア小物などのデザインは、数ヵ月でトレンドが変わることが多く、流行デザインの模倣商品もすぐ発売される。一方、デザイン侵害の刑事訴訟は、平均6.5ヵ月、デザイン侵害禁止の請求訴訟(1審)は、12.4ヵ月かかり(2018年、法院行政処)、デザイン侵害を受けた企業の平均訴訟費用は8,000万ウォン程度である。デザイン侵害訴訟の進行に必要な時間、費用が多くかかり、デザイン権利者は、訴訟から得られる実益が少ないため、侵害対応に積極的ではない場合が多い。それを悪用して、デザインの模倣がさらに増加するという悪循環が発生する。

韓国特許庁は、デザイン紛争の早期解決をサポートするために、「産業財産権紛争調停委員会」を運営している。 「産業財産権紛争調停委員会」を通すと、別途の申請費用なしで、3ヵ月以内に専門分野の調停委員による調停結果を受けることができ、調停が成立すれば、裁判上の和解と同一の効力を持つ。デザイン紛争の調停成立率(46%)は、特許(31%)、商標(36%)に比べて高く、制度運営の実効性も高い。

特に、2020年8月から商品形態の模倣(※)を含めた不正競争行為も紛争調停委員会に調停を申請することができ、より効果的に紛争を解決できるようになった。

※試作品製作など商品形態が整った日から3年以内に他人が開発した商品形態を模倣する行為(ただし、同種の商品における通常的な形態は除く)

特許庁の産業財産保護協力局長は、「デザイン侵害や商品形態の模倣に対する被害を受けたが、訴訟を起こすのは負担である方々が、積極的に活用することを期待している」と述べた。

一方、調停申請など詳しい情報は、特許庁の産業財産保護政策課(+82-42-481-5925)と、韓国知識財産保護院(1670-9779、www.koipa.re.kr/adr)で確認することができる。

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