知的財産ニュース 韓-ブラジル間の「特許審査ハイウェイ(PPH、Patent Prosecution Highway)」プログラムを4月1日から施行
2020年3月31日
出所: 韓国特許庁
韓国企業によるブラジルでの特許出願が登録まで11年以上かかっていたのが8カ月に短縮される。
韓国特許庁は、韓国企業の海外進出に向けた、海外における知的財産権獲得支援の一環として、2020年4月1日からブラジルと「特許審査ハイウェイ(PPH、 Patent Prosecution Highway)」プログラムを施行すると明らかにした。
PPHとは、出願人が同じ発明を2ヵ国以上の特許庁に出願し、一つの国から登録決定書または特許可能通知書を受け取った場合、それを他国に提出して優先審査を申請する制度である。
出願人の立場では、複数の国で迅速かつ効率的に特許権を獲得することが可能となり、特許庁または他国の審査結果を活用することによって、審査に対する負担を減らせられるとの評価を受けている。
ブラジルは、中南米最大の消費市場を保有している国(人口約2.1億人)であり、韓国の対ブラジル輸出は年間約49億ドル(2018年)に至り、特許は2012年以降2,500件以上が出願されるなど、韓国企業のブラジル内における知的財産権保護および活用に対する重要性が高まっている。
一方、ブラジルで特許を出願してから獲得するまでの平均審査期間は11.2年もかかり、韓国企業の迅速な権利保護に対する苦労が多かった。
しかし、韓-ブラジル間のPPHが施行されれば、ブラジルにおける特許登録までの期間が8カ月程度に著しく短縮される。
そのため、韓国特許庁は2018年からブラジル特許庁とPPH施行のための交渉を進めてきた。
交渉初期にブラジルは、審査能力を理由に繊維分野のみ指定してPPH施行を提案したが、韓国特許庁は、対ブラジルの主力進出分野である電気・電子・通信・機械分野などに対する韓国企業の技術保護のために分野制限のないPPH施行という結果を導き出した。
韓国特許庁は、「今回のPPH施行を契機にブラジル市場を狙った韓国企業の迅速な知的財産権の先取りが可能となり、事業化に向けた基盤を構築できると見ている。今後も特許庁は韓国企業のグローバル競争力を高めるために、海外における知的財産権の確保に向けて支援を拡大していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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