知的財産ニュース 特許庁、最新の情報技術を融合した「次世代特許ネット」を開通

2020年2月27日
出所: 韓国特許庁

AI技術を適用した高品質の特許サービスを提供

特許庁は、3月2日(月曜)から人工知能(AI)など最新の知能情報技術を適用した「次世代特許ネット(注1)」を開通すると発表した。

特許庁は、国民向けサービスの利便性と特許行政の品質を革新的に向上させるため、2019年から3年にわたって「次世代特許ネット」の開発を推進してきており、2019年4月から進めてきた1次年度の課題を優先的に反映してサービスを提供することになった。

1次年度は、「次世代特許ネット」の基盤を構築する段階であり、高品質の審査システムの構築、電子出願サービスの改善および電算システム機能の高度化を重点的に推進してきた。

(1)人工知能、機械翻訳など最新技術を適用した高品質の審査システムを構築

人工知能を取り入れた商標検索システムを開発し、学習による類似画像の検索結果が提供できるようになり、合金発明の組成比や化学構造のように検索が難しかった情報を自動的に抽出し、類似の先行文献を検索するようにすることで、検索品質をより向上させた。

翻訳サービスの場合、グーグルやカカオなどの民間企業のAI機械翻訳エンジンと連動したサービスを提供して審査官が言語の壁を感じることなく、世界中の先行文献を検索できるように支援する。

それに加え、出願書の請求項と審査官が作成した通知書の不備を自動的にチェックして提供することにより、審査行政の効率性を向上させるとともに、出願人にはより高品質の審査結果を提供する。

(2)フリータイプ明細書による出願、モバイル出願など出願形式と手続きの簡素化および利便性の改善

まず、2020年の上半期に施行する予定のフリータイプ明細書による出願(注2)を通じて様式の制限なく発明と同時に出願できるようになり、商標のモバイル出願サービスを提供して場所の制約なしにどこでも出願できるようになった。

また、無中断オンライン受付システムを介して、平日だけでなく日曜日を含む休日にも24時間365日の出願が可能になっている。

特許路(注3)の場合、インタフェースを全面的に改編し、手数料納付の案内など特許に関する日程をスマートフォンで簡単に確認できるようにし、ウェブ出願システムを提供することで、既存の文書のひな型やプログラムをダウンロードするなどといった不便を大幅に改善した。

(3)オープンアーキテクチャ(注4)と公開ソフトウェアを適用した電算システム機能の高度化

従来は別途の商用ソフトウェアを中心に運営されていたシステムを標準技術とオープンソースベースのソフトウェアに置き換えて、最新技術の適用とメンテナンスが容易に行われるようにし、無中断およびモバイル出願など国民向けサービスを安定的に支援するために、特許ネットのサーバーなど電算機器をアップグレードした。

このような「次世代特許ネット」サービスが提供されるようになれば、国民向けサービスの利便性と特許行政の品質が大幅に改善されると期待される。

まず、出願人には24時間365日、いつでも、どこでも出願可能な環境が提供され、カスタマイズ型情報を活用した効率的な特許管理が可能になる。

それに加え、特許庁も同様にAI基盤の検索システム、機械翻訳システムなどを活用して、より迅速かつ正確な行政サービスを提供することができると予想している。

一方、特許庁は「特許ネットシステム」を開発してから2年目になる2020年には、AIチャットボットシステムの構築、ウェブおよびモバイル出願サービスの拡大(※)および出願発明の事前分析システム(注5)の開発などを推進する計画であり、3次年度にはAI特許検索システムの開発、知的財産情報の統合ポータルの構築などを推進してシステムの開発を完了する予定であると明らかにした。

※ウェブ出願の提出書式を865種に拡大し、特許‧実用新案‧デザインのモバイル出願を支援

特許庁次長は「2020年に開通される『次世代特許ネット』は、国民の権利保護と出願の利便性を改善するとともに、高品質の審査サービス提供による産業技術の発展の礎になる」とし、「3年にわたる『次世代特許ネット』の開発事業を成功させ、特許行政のイノベーションをリードし、韓国が特許大国に飛躍できる基盤を提供していきたい」と述べた。

別添PDFファイル(1.3MB)
1. [参考] 次世代特許ネットの構想図
2. [別添1]「次世代特許ネット」開発計画および主要課題
3. [別添2]「次世代特許ネット」1次年度開発事業の主要内容

注記
1.特許、実用新案、商標、デザインなど産業財産権の出願、審査、審判、登録、公報発刊など特許行政業務全般を電算化した総合情報システム
2.論文、発表資料(PPT、画像)など自由形式の出願を許可することにより、明細書の形式に合わせて文書を提出しなくても出願日を優先的に確保することができる制度
3.出願、審査、登録および納付まで産業財産権に関する全ての行政手続きが処理できるウェブサイト
4.クローズド技術・システムからオープンシステムへ、技術共有、相互連結や移植が自由な体制を意味し、未来新技術に対する適用性と拡張性に優れている
5.出願発明に対する分析に基づき、先行文献など特許審査のために参考すべき情報を統合して提供

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