知的財産ニュース 未登録有名商標の盗用、アイデア奪取行為も産業財産権紛争調停委員会を通じて解決可能

2020年2月3日
出所: 韓国特許庁

特許庁は、産業財産権の紛争調停対象を経営上の営業秘密、不正競争防止法上の不正競争行為まで拡大するなど、産業財産権紛争調停制度を改善する発明振興法の改定法が2月4日に公布されると発表した。

1995年から運営してきた産業財産権紛争調停委員会は、特許、実用新案、商標、デザインのような産業財産権と職務発明、技術上の営業秘密に関する紛争を迅速かつ経済的に解決してきた(※)。産業財産権紛争調停制度は、申請費用が無料で、3カ月以内に手続きが完了されることと徹底した秘密保証という長所のため多数の企業が産業財産権紛争を解決するために活用してきた。

※ここ4年間で年平均約50件処理、調停成立率34%を達成

このような長所にもかかわらず、特許権、実用新案権、商標権、デザイン権、職務発明、営業秘密(技術上の情報)の紛争で調停対象が限定されており、未登録有名商標の盗用行為、商品形態、模倣行為、アイデアなど不正競争行為と顧客リストのような経営上の営業秘密侵害に関する紛争は紛争調停委員会による解決が不可能だった。また、現在の調停委員プールが40人に制限されており、技術分野別の紛争解決が困難であった。

今回公布した法律が施行されると、既存の紛争調停対象に「不正競争防止および営業秘密保護に関する法律」に規定された不正競争行為と経営上の営業秘密の侵害に関しても調停が可能になる。そして産業財産権紛争調停委員会の調停委員プールが最大100人まで拡大され、3名の調停委員で調停部を構成して調停業務を遂行していたのを、1名または2名の調停委員でも構成することができるようになり、紛争調停業務をより効率的に行えるようになった。

その他、調停委員会の迅速かつ公正な調停のために事実確認の権限が付与され、韓国知識財産保護院に事務局を置ける法的根拠を設け調停委員会の安定的な運営が可能となった。

今回公布された発明振興法の改定法律は、下位法令の委任による施行令の改定などを考慮し、公布後6カ月が経過した2020年8月5日に施行される予定である。

特許庁の産業財産保護協力局長は「今回、発明振興法の改定法が公布されることにより、産業財産権紛争調停委員会が活性化し、紛争で苦労している国民が無償で紛争を解決できる機会がより拡大することを期待している」と述べた。

産業財産権紛争調停の申請は、所定の申込書(ウェブページwww.koipa.re.kr/adr)を作成し、紛争調停委員会(ip.adr@korea.kr)に提出すればよい。より詳細な案内と支援に関しては韓国知識財産保護院が運営している産業財産権紛争調停委員会の事務局(+82-1670-9779、ウェブページ www.koipa.re.kr/adr)から確認できる。

「産業財産権紛争調停制度の改定事項」

産業財産権紛争調停制度の改定事項

「年度別、調停申請の件数」

年度別、調停申請の件数

「産業財産権紛争調停の権利別の統計(1995~2019年)」

産業財産権紛争調停の権利別の統計(1995~2019年)

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