知的財産ニュース 中小企業の知的財産(IP)担保融資のハードルが低くなる

2020年1月2日
出所: 韓国特許庁

銀行に対する年次登録料の減免、スタートアップ特許出願の優先審査申請料の減免など施行

韓国特許庁は、知的財産(IP)金融の活性化を支援するため、銀行に対する特許登録料の減免を2019年12月31日から施行すると明らかにした。

1.銀行に対する特許年次登録料 50%減免

特許庁は、銀行が中小企業を対象にIP金融(IP担保融資など)を実行した後、中小企業の特許権、実用新案権、デザイン権を引き継いで、保有する場合に年次登録料(※)を50%減免する。

※特許・実用新案・デザインの設定登録以降、4年目から毎年1年分ずつ納付する登録料

これまで、銀行がIP金融を実行し特許権などを保有しても登録料の減免優遇が適用されなかったが、今回の改正により特許年次登録料納付の負担が減ったため、IP金融がより活性化すると見込んでいる。

2.スタートアップ特許出願の優先審査申請料の70%減免

スタートアップ(※)の特許出願過程から発生する経済的負担を減らし、優先審査(※※)を通じて、特許権を早期に確保し安定的な事業を推進できるよう、スタートアップ特許出願の優先審査申請料を70%減免する。

※創業後、事業開示日から3年が経過していない初期創業企業(中小企業創業支援法第2条第2の3号基準) ※※特許出願人でない者が業として特許出願された発明を実施していると認められるか、緊急に処理する必要があると認められる場合、他の特許出願より優先し審査する制度(特許法第61条)

その結果、スタートアップ特許出願の優先審査申請料が20万ウォンから6万ウォンに下がり、スタートアップは特許出願料・審査請求料・設定登録料の70%減免に加え、特許取得費用が削減でき、速やかな特許権の確保が可能になると期待している。

3.3年分以上の年次登録料を一括納付する際、割引率の引き上げ(5%→10%)

一方、特許庁は3年分以上の年次登録料を一括で前払いする場合、適用される割引率を現行の5%から10%に引き上げる。

特許庁は、これにより中小企業などが年次登録料の前払による割引優遇を受けるだけでなく、登録料の納付期限が過ぎて特許権などが消滅される事例を防止できると、予測している。

4.行政情報共同利用を拡大導入し、申請書類の削減

最後に、出願人などが「手数料の事後減免(※)」を申請する場合、行政情報共同利用に同意すると銀行口座番号を確認するための預金通帳の写本提出が省略され、申請者の提出すべき書類を減らすことができる。

※手数料減免の対象者が出願料などを納付する際、減免対象であることを証明する書類を添付しなかったため、手数料減免が認められなかった場合、事後に減免を申請する制度

特許庁の情報顧客支援局長は「今回の手数料の減免措置により、IP金融がさらに活性化し、スタートアップの特許創出が増加すると期待している」とし、「これからも中小企業のイノベーション活動を支援できるよう特許手数料の構造を積極的に改善していく」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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