知的財産ニュース IP投資連携に向けた新たな挑戦、「第1回IPスタートアップ・ロードデー」

2019年6月27日
出所: 韓国特許庁

スタートアップの革新的IPを投資と連携する

特許庁は、6月28日(金曜)、MARU 180(創業支援センター、ソウル市江南区)で、「事業資金確保」に悩むスタートアップの支援に向けて、革新的IPを投資と連携する新たな挑戦、「第1回IPスタートアップ・ロードデー(以下、IPロードデー)」を開催する。

2019年のIPロードデーでは、試験的な試みとしてスタートアップの成長におけるIPの重要性を発信し、IP(知的財産、Intellectual Property)を基盤に、民間投資家から投資を誘致する機会の場を設ける。

革新的特許を保有するスタートアップの売上と雇用の増加幅が顕著(※)であると調査されるなど、革新的特許は創業企業の生存(※※)と成長の中核要素である。

※創業企業は、最初の特許登録後、5年間の平均売上が79.5%および雇用が54.5%増加(全米経済研究所、2017年)

※※創業企業の生存率:(1年)65.3%、(5年)28.5%(2017年、企業生命行政統計)

しかし、国内のスタートアップは知的財産を、特に革新的特許の確保を、費用としてしか認識(※)していない傾向があり、スタートアップのうち、41%は特許なしで創業(※※)しており、1件のIPのない状態で創業したスタートアップも25%に上る。

※97%が特許の重要性を認識していると回答したものの、62%が、特許戦略がないと回答(2016年、スタートアップIP認識調査)

※※全体のうち、特許は41%、実用新案は93%、デザインは87%、商標は48%のスタートアップにおいて、権利がないまま創業している。(2016年、韓国スタートアップ生態系白書) 

革新的アイデアを特許として保有するスタートアップも、投資を誘致できず、事業資金確保に悩む(※)状況が繰り返されている。

※創業の障害要因:(1)創業資金確保の困難、(2)失敗への恐れ、(3)知識、能力、経験の不足など(2018創業企業実態調査、創業振興院(2019年))

このような状況を改善するために、特許庁は、「IPスタートアップ・ロードデー」を新しく設けて、革新的特許を保有する企業を対象に持続的な投資誘致の機会を提供する。

今回のIPロードデーは、首都圏(ソウル・京畿・仁川)所在の予備創業者および創業3年未満のスタートアップを対象に、2週間参加企業の公募を行い、最終的に97社から申請書が提出されるなど、スタートアップの関心が高かった。

1次書類審査で14社を選別し、2次審査で民間投資家を対象に発表を行う5社(※)を最終選定した。(倍率19.4:1)

発表企業には、KBインベストメント、信用保証基金、ハンファ投資証券など、多様な投資機関から投資誘致の機会とともに、知的財産サービスを直接選択して利用できる最大1,500万ウォン相当の「特許バウチャー」も支給される。

また、特許庁のスタートアップ支援事業(IP翼(ナレ)プログラム、グローバルIPスター育成、IP‐R&D支援)の優先支援対象として推薦される。

さらに、選定されたスタートアップには、信用保証基金と技術保証基金などの協力を得て保証約定書を提供するなど、信用保証と連携した資金支援も積極的に推進される。

選定された企業のうち、(株)ISENTECHは、仁川空港公社との納品契約およびフィリピン輸出契約を推進しており、(株)ElecQUAおよび(株)コロッセオなども投資家との相談が活発に行われるなど、投資成果か可視的に表れる見通しである。

特許庁長は、「スタートアップは、国のイノベーション成長と第四次産業革命時代をけん引する突破口である」とし、「特許庁は、国内のスタートアップの革新的なアイデアを知的財産として権利化支援を行うとともに、革新的IPを基盤に投資を誘致できるよう積極的に支援する。今回のIPロードデーがその第一歩である」と述べた。

IPロードデー選定企業紹介(発表順)

  1. (株)ElecQUAは、国内初で冷・温気を自動的に供給するほか、IoT機能により使用者が便利に管理できるように、金魚鉢の温度制御機器の開発を行った。
  2. (株)コロッセオは、eコマースの中小型セラーと倉庫主間の効率的なコミュニケーション、信頼できる物流業務を可能にするシステムの開発により、便利で簡単なフルフィルメント・マネジメントサービスを提供する。
  3. (株)FOXBOXは、乳幼児の安全と健康、伴侶動物の安全を守るサスペンション・ハイブリッド・カーシートの「LUKE」を開発し、国内では史上2番目に、IFIA(※)ベスト発明賞と銅賞を受賞した。
    ※IFIA(International Federation of Inventors’ Association):国際発明団体総連盟
  4. (株)SONICDUTCH KOREAは、世界初でスピーカーの音波の利用と、精密な垂直振動による水の波動を利用して、5分でダッチ・コーヒーを抽出できるほか、Bluetoothによる音楽鑑賞も可能なマシーンの開発を行った。
  5. (株)ISENTECHは、これまでの技術では測定できなかった空気中の特定物質をPPQ(1,000兆分の1)単位まで探知する技術を開発し、危険物探知、食品安全検査、体外診断などに活用できる装備の開発を行った。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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