知的財産ニュース 太陽光発電、水の上で広がる!

2019年9月3日
出所: 韓国特許庁

水上太陽光発電関連の特許出願急増

政府は、セマングム(新萬金)の内水面に、世界最大規模の水上太陽光発電システムの設置を許可したことがある。火力や原子力発電に代わる太陽光発電への期待が高まっている中、国土の狭い韓国は設置場所が限られている。この問題を克服するために、湖や海の上に太陽光発電システムを設ける水上太陽光発電に対する関心が大きくなっている。国内の水上太陽光事業は、韓国水資源公社が2012年7月に陜川(ハプチョン)ダムの水面に500KW級を設置して以来、保寧(ポリョン)ダム、忠州(チュンジュ)ダムなどに数MW級が設置された。そして政府の「環境に優しい未来エネルギー」産業育成政策により、2018年からその事業規模がさらに大きくなり、セマングムの内水面に2.1GW級を設置することになった。(※)

※(2019年7月18日)産業通商資源部-報道資料「歴代世界最大の水上太陽光事業、セマングムで本格推進」

特許庁によると、水上太陽光発電関連の特許出願は、2010年から2013年までは年間20~30件、2014年は49件、2015年は74件、2018年103件と活気づいている。2019年上半期にも54件が出願され増加傾向が続いている。2018年以後の急激な増加は、政府政策による水上太陽光発電の事業規模の拡大と関連していると分析される。

水上太陽光発電システムは、水の上に発電設備を浮かべる浮力体と、これを固定する係留装置を必ず具備する。2010年から2019年6月まで出願された全体の492件を技術別に見ると、浮力体およびフレームが260件(53%)、係留および固定が45件(9%)、発電設備の移動と回転が37件(8%)と、太陽光発電設備の水上設置と直接に関連している出願が多くの部分(総342件、70%)を占めている。

その他、潮力や風力発電が結合したハイブリッド発電が44件(9%)、発電設備が設置された場所の水質を改選する水質管理が38件(8%)、自らの水資源を用いた発電設備の洗浄・冷却が24件(5%)、発電設備の管理監視が17件(3%)、電力管理が17件(3%)であり、発電設備に農作物の水耕栽培や魚類養殖の設備を合わせた技術も10件(2%)を占めている。

出願人別に見ると、中小企業が262件(53%)、個人が141件(29%)で大きい部分を占めており、大学/研究所が35件(7%)、公的企業が34件(7%)、大企業が14件(3%)と次いでいる。そして外国人は6件(1%)ほどだった。

このように中小企業や個人出願が主流である理由は、水上太陽光発電に関する出願が多様な設置環境を最適化し、問題を解決するための技術に関するものとして、中小企業や個人の創意的で柔軟なアイデアが発揮できる領域であるためだと判断される。

上位出願人に見ると、中小企業では、KD POWERが19件、Scotraが11件、Wsolarが8件であり、大学・研究所では韓国海洋大学校が5件、公的企業では韓国水資源公社が16件、韓国水力原子力公社が9件、韓国電力が7件、大企業では、LS産電が11件を出願した。内水面や海洋と関連する公的企業も積極的に特許出願をしていることが分かった。

特許庁エネルギー審査課長は「水上太陽光発電は、利用可能な国土面積が狭い韓国に適合した発電方法として注目されている」とし「これからも水分、塩分および波といった厳しい設置、発電環境を乗り越え、発電効率を高めるための研究開発および特許出願が続くと予想される」と述べた。

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