知的財産ニュース 特許庁-司法研修院-WIPO、途上国の知的財産権紛争解決の支援に向け連携!

2019年4月10日
出所: 韓国特許庁

特許庁と司法研修院、世界知的所有権機関(WIPO)は共同で、中国、ベトナムなど17ヵ国の21人の途上国の法官を対象に4月11日(木曜)から19日(金曜)まで「知的財産権紛争解決教育過程」を特許庁国際知識財産研修院と司法研修院で開設・運営すると明らかにした。

今回の教育過程では、知的財産権審判および訴訟、調停および仲裁など、知的財産権関連の紛争解決分野で韓国と世界知的所有権機関(WIPO)がこれまで蓄積してきた経験とノウハウを、教育過程に参加する法官に伝授する一方、互いの優秀事例を共有する機会を提供することで、途上国の知的財産権紛争解決の力量向上を目標としている。

この教育過程は、審判から訴訟まで知的財産権紛争解決の全過程を取り上げる、特許庁と司法研修院との初の協力事例という点で意義があり、この教育過程を通じて韓国の先進的な知的財産権紛争解決システムが途上国により効果的に発信できるとみられる。

同教育過程は、4月11日(木曜)から12日(金曜)までの2日間は特許庁国際知識財産研修院にて、4月15日(月曜)から19日(金曜)までの5日間は司法研修院で実施される。国際知識財産研修院では特許・商標・デザインなどの審査・審判制度が集中的に取り上げられ、司法研修院では知的財産権訴訟の制度全般において深みのある講義が行われる予定である。

計20のテーマからなる理論講義以外にも、事例研究、模擬裁判、裁判傍聴、その他の関連する法・制度の改善に向けた円卓会議など様々な実務プログラムで構成されており、韓国の制度をより深く理解することができると期待される。さらに、特許審判院の「遠隔映像口述審理システム」(※)、特許法院のいわゆる「電子裁判システム」など知的財産権紛争の効果的な解決のための韓国の優秀な制度も紹介される予定である。

※行政審判は書面審理が原則であるが、特許審判では権利解釈と救済の特殊性を勘案し、当事者が簡単に言葉で争点を説明できる口述審理が並行されており、特許審判院は口述審理制度の時間的・空間的不便を解消するために、映像を通じた遠隔審理ができるように「遠隔映像口述審理システム」を構築・運営している。

特許庁長は、「今回の教育過程を通じて途上国の知的財産権紛争解決の力量が向上され、さらには韓国の先進的な審判・訴訟システムを海外に発信できるよい契機になる」とし、「この機会をもとに知的財産権紛争解決において、途上国現地で韓国に対する友好的な環境が造成されるとともに、海外に進出している韓国企業の知的財産出願および保護活動にも大きく役立つだろう」と述べた。

また、司法研修院長は、「今回の研修は、司法研修院が培ってきた法官研修のノウハウをもとに、外国の法官を対象に韓国の知的財産権訴訟の全般的な実務と事例を専門的・体系的に紹介する非常に有意義な場となる」としたうえで「今後、司法研修院と特許庁が世界知的所有権機関(WIPO)との協力関係をより堅実なものにすることで、知的財産分野に関する国際的研修支援を拡大し、世界の司法部の知的財産専門家の育成に資する意義のある出発点になることを期待する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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