知的財産ニュース クレーンの安全事故防止技術関連特許出願増加
2019年6月24日
出所: 韓国特許庁
倒れるクレーン、特許で立ち上がらせる!
人工知能(AI)技術適用の分野が拡大されており、クレーンが自ら危険な状況を回避して、作業者と装備の安全を守る時代の到来がそう遠くないと見通される。
特許庁によると、建設および産業現場の安全に対する関心が高まっている中、クレーンの安全関連の出願のうち、AIを適用する出願が2014年の12件から2018年は27件と大きく増加したことが判明した。
クレーンは、倉庫、工場、港湾、建設現場などで、重量物を運搬するために使用される代表的な機械装置であり、高い所で重量物を運搬する装備の特性上、事故が発生すると重大事故につながる危険性が高い。
このため、クレーンに対する安全基準を強化する「建設機械管理法」が改正されており、2019年3月19日から施行されるなど、クレーンの安全確保に向けた取り組みが行われている。
最近、建設と造船業の景気低迷と相まって、クレーン分野全体の出願は多少減少しているが、安全関連の出願は2014年以降、毎年35件以上の順調な出願となっており、今後も安全関連の出願が持続的に増加するものと予想される。
直近5年間のクレーンの安全関連の出願の動向をみると、装備の誤作動防止など、一般安全関連の出願が全体の55.9%(104件)と最も高い割合を占めており、クレーンの転覆を予測し防止する技術が23.1%(43件)、クレーンと周辺の作業者または障害物との衝突を防止する技術が21.0%(39件)であった。
AI技術が適用された安全関連の出願は、順調に増加し、全体の安全関連出願の49%(91件)を占めており、特に重大災害と直接関連のあるクレーンの転覆および衝突防止技術にAIが適用された出願が全体の51.7%(47件)を占めた。
また、直近5年間の出願人別の動向をみると、中小企業が404件で37.1%を占めており、大企業35.1%(382件)、個人23.4%(255件)、大学および研究所などその他が4.4%(48件)となっており、中小企業と個人の割合が相対的に高く調査されたが、零細なクレーン産業の特性がそのまま反映されたためとみられる。
一方、大企業の出願の割合が2014年の48%から2018年は21%と、大きく減少したが、これはこれまでの造船業の景気低迷の影響と分析される。
特許庁次世代審査輸送審査課長は、「急激に適用分野が拡大されているAI市場において、クレーンの安全関連の知財権確保は、競争で優位に立つための重要な手段であり、持続的な技術開発と早期の権利化が何より重要である」と述べた。
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