知的財産ニュース PM2.5削減対策として浮上している「LNG発電」

2019年12月4日
出所: 韓国特許庁

ここ5年間(2014~2018)特許庁に受け付けられた発電用ガスタービン関連特許出願が増加

抗酸化物質のような大気汚染物質やPM2.5をほとんど排出しないため、より環境に優しい発電方法として評価されているLNG(液化天然ガス)発電の中核部品である、ガスタービンに対する韓国企業の特許出願が活発に行われている。

特許庁によると、発電用ガスタービン関連特許はここ10年間(2009~2019年)計1,049件が出願され、2009~2013年の年平均約60件から2014~2018年の年平均約150件に著しく増加した。

政府は2017年から2030年まで約10年間で、石炭と原子力発電の割合が約10%に減少するが、新・再生可能エネルギー発電は約10%以上に大きく増加し、LNG発電も約2%に徐々に増加すると展望している。(出所:第8次電力需給計画、産業通商資源部、2017年12月)

※ 第8次電力需給計画(産業通商資源部、2017年12月)の2017~2030年の発電量割合の展望によると、石炭と原子力発電は45.4%と30.3%から、それぞれ36.1%と23.9%に減少し、LNGと新・再生可能エネルギー発電は16.9%と6.2%から、それぞれ18.8%と20.0%に増加すると見通している。

新・再生可能エネルギー発電が短期間で全ての電力需要を満たすのは、現実的にいろいろなハードルがあることを考えると、石炭や原子力発電に比べ環境と安全性の側面で大きなメリットを持っているLNG発電の中核部品である発電用ガスタービンに対する研究開発と特許出願は非常に活気のある現象である。

ここ10年間、㈱三菱と韓国の㈱斗山重工業は、それぞれ292件と237件を出願し、全体の50%以上を占めている。特に㈱斗山重工業は㈱三菱とのライセンス契約が満了になった2017年前後の3年間に171件を出願し、同期間に113件を出願した三菱を追い越し、技術と特許競争力を確保した。

その他にも韓国電力関連の発電会社が69件、機械研究院など国策研究所が66件を出願し、世界ガスタービン市場シェアの1,2位を占めている、ゼネラル・エレクトリック(GE、米国)とシーメンス(Siemens、ドイツ)がそれぞれ62件、36件を出願した。

※ ガスタービンの世界市場シェア(2015年基準):GE 40.0%、シーメンス31.8%、三菱17.8%、その他10.4%(出所:Frost & Sullivan Research and Markets)

技術別では、ガスタービン運転効率向上の中核技術であるガスタービン制御(351件)と燃焼装置(228件)、冷却装置(155件)関連の特許出願が最も多いことが明らかになり、その他漏れ防止をはじめとする安全関連技術、メンテナンス技術などさまざまな分野における出願が活発である。

特許庁の動力技術審査課長は「2030年まで、LNG発電の割合を18.8%まで向上させる政府の計画からみると、発電用ガスタービン市場は持続的に成長すると見通している」とし、「日本のホワイトリストの排除品目でもあるガスタービン分野での韓国企業の知財権確保に対する努力は中核部品の国産化への心強い支えになる」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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