知的財産ニュース シートベルト、事故を予防する技術へと進化

2019年9月23日
出所: 韓国特許庁

特許庁によると、シートベルト着用と関連する特許出願は、2010年から2014年まで年平均13件に留まっていたが、ここ4年間(2015年~2018年)は年平均27件と、2倍以上増加したことが分かった。

シートベルト着用関連技術は(1)シートベルト着用モニタリング(着用可否の感知・警告など)、(2)シートベルトスマートシステム(事故予防制御・システムなど)、(3)シートベルトの構造(利便性・堅さの向上など)分野に分けられる。

2010年から2018年までにおける技術別特許出願の割合をみると、シートベルト着用モニタリングが62件(36.5%)、シートベルトスマートシステムが61件(35.9%)、シートベルトの構造が47件(27.6%)の順であった。

出願人別では、内国人が142件(84%)、外国人が28件(16%)で、内国人が特許出願を主導しており、外国人の中では、日本が14件(8.2%)、米国が6件(3.5%)の順となった。

内国人においては、大企業が56件(33%)、中堅企業が32件(19%)、個人が30件(18件)、中小企業が15件(9%)、大学・研究機関などが9件(5%)の順で、大企業・中堅企業が半分以上(52%)を占めている。

シートベルトスマートシステムの技術分野のうち、車両事故の発生を未然に防ぐための予防的機能に焦点を当てる特許出願(※)が、2015年から新規として申請されて注目を浴びている。

※期間別特許出願件数(累積)の推移:2010年~2014年(0件)→ 2015年~2018年(10件)

シートベルトを利用して運転手・搭乗者の状態を持続的にモニタリングし、突然の心停止が発生した場合に心肺蘇生法を実施する技術が代表的事例である。

また、運転手の居眠り運転を感知した場合、シートベルトを振動させて運転手を起こせるなど、運転手の状態を管理し、それによりシートベルトを制御する技術も出願された。

シートベルト着用関連技術の開発は、全座席でのシートベルト着用が義務化(2018年9月28日施行)され、その重要性が大きくなったことから、今後も引き続き進められるとみられる。

特許庁自動車審査課長は、「事故時の運転手・搭乗者の被害を最小限にする事後的機能を超えて、事故の予防に向けたシートベルト着用技術の特許出願の割合が、ますます高くなると見込まれる」と展望した。

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