知的財産ニュース ロボットがきちんと世話役

2019年5月7日
出所: 韓国特許庁

ケアロボット関連の特許出願の増加幅が目立つ

「散歩から戻ったら、ロボットが車椅子に座っている高齢者を持ち上げ、丁寧にベッドに寝かせる。食事の時間には、トレイのご飯とおかずを取ってあげ、時間に合わせて薬を用意する」。韓国は、2025年に超高齢社会(65歳以上の人口が20%)に進入(注1)するものと予測される中、ケアロボットを使用する日常が、遠くない将来に現実のものとなる見通しである。これを反映するかのように、ケアロボットに関する特許出願も順調に増加している。

特許庁によると、ケアロボット分野の特許出願は、2010年~2012年には、年間平均で37件に過ぎなかったが、2013年~2015年には50件余り、直近の3年間は72件余りと持続的に増加している。このような傾向は、人口構造の変化とAI・IoTなどと融合した関連技術の発展によるものであり、今後も該当分野の出願の増加が続く見通しである。

2010年から直近の9年間の出願人を類型別にみると、大学・研究所(38%)、中堅・中小企業(27%)、外国企業(17%)、個人(9%)、大企業(9%)の順であり、研究機関と中小企業の出願の割合が相対的に高い。これは、高齢化が進む速度に比べてケアロボット市場はまだ初期段階にあり、研究機関とスタートアップを中心に、研究・開発が行われていることを示している。

2010年から直近の9年間の出願を分野別にみると、食事・移動・移乗補助のような日常生活の支援(40%)、血糖・血圧管理のような健康管理(27%)、リハビリ支援(10%)の順であった。

一方、ケアロボットの普及と拡散を支援するために、政府は最近、ケアロボットを4大有望サービスロボット分野(ケア、医療、物流、着用型)の一つとして選定して、関連の研究開発を支援するとともに、社会的弱者を対象にしたケアロボットの普及事業を拡大する計画である。

これを受けて、特許庁も、国内企業における特許権連携の研究開発戦略策定(IP-R&D)の支援、関連先行技術の情報を提供するIPサービス企業の育成および各種ロボット競合大会の支援を通じて、ロボット技術に関する国内企業の特許創出能力の強化と人材育成に向けて持続的に取り組んでいる。

特許庁のロボット自動化審査課長は、「ロボット技術の適用範囲が、高齢者のケアまで拡大されることにより、高齢者の生活の質の向上と未来の雇用創出に大きく貢献すると期待される」とし、「ケアロボット市場は、今後、成長可能性が非常に高い反面、市場はまだ初期段階にあるため、ビジネスモデルと製品を連携して特許戦略を策定し、知的財産権の初期確保を図ることで、市場において優位を占めることが重要である」と強調した。

(注1)統計庁「2019年3月年齢別現在・将来人口推計」参照

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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