知的財産ニュース 第23次国家知識財産委員会、「知的財産分野の紛争調停制度の活性化方策」などを確定

2018年12月18日
出所: 科学技術情報通信部

韓国政府は12月17日(月曜)午後3時、政府果川庁舎で第23次国家知識財産委員会を開催し、「知的財産分野の紛争調停制度の活性化方策(案)」など4つの案件を審議・確定した。

国家知識財産委員会の概要

  • 「知識財産基本法」第6条の規定に基づき、知的財産に関する政府の主要政策と計画を審議・調整する大統領所属の委員会
  • 委員長(共同委員長:国務総理と民間委員長)、政府委員(企画財政部・教育部・科学技術情報通信部(幹事)・外交部・文化体育部・農食品部・産業部・保健福祉部・中小企業部の長官、国家情報院長、国務調整室長、公正取引委員長、特許庁長)13人、民間委員18人

第23次国家知識財産委員会の案件

(1号、審議)知的財産分野の紛争調停制度の活性化方策(案)

(2号、審議)文化・産業の発展のための著作権尊重文化の拡散方策(案)

(3号、審議)発明者への補償強化および職務発明活用の向上のための職務発明補償制度の改善策(案)

(4号、報告)2019年知的財産の主な政策イシューの発掘(案)

各案件の主な内容は以下のとおりである。

知的財産分野の紛争調停制度の活性化方策(案)

訴訟以外の代替的紛争解決手続制度の一つである「調停」は、当事者の同意の下、調停人が交渉に介入し、合意に至るようにする方法であり、合意された結果は裁判所の確定判決と同一の効力を有する。

特に、中小・ベンチャー企業は知的財産をめぐる紛争が訴訟になると、莫大な費用と時間がかかり、深刻な打撃を受けることになるが、調停制度を利用すれば、訴訟に比べ、経済的かつ迅速に紛争を解決することができ、中小・ベンチャー企業の知的財産保護に貢献すると期待される。

※ 知的財産分野の紛争調停制度:産業財産権紛争調停制度(韓国知識財産保護院)、中小企業技術紛争調停・仲裁制度(大・中小企業・農漁業協力財団)、産業技術紛争調停制度(韓国産業技術保護協会)、著作権紛争調停制度(韓国著作権委員会)、コンテンツ紛争調停制度(韓国コンテンツ振興院)など

調停制度を活性化させるために、調停の対象範囲を拡大(注1)するとともに、別途の専門調停部を新設し、技術専門家を拡充するなど、紛争調停委の専門性を強化(注2)する。

また、調停の結果の公正性と客観性を高めるために、著作権調停の鑑定対象を拡大し、産業財産権の調停過程に事実調査を導入する予定である。

文化・産業の発展のための著作権尊重文化の拡散方策(案)

デジタル技術の発展に伴い、時間や場所に関係なく、文化コンテンツが利用可能になったが、著作権に対する認識が低いため、違法コピーの流通や利用、著作権濫用などの問題が相次いでいる。

これを受け、市民の著作権に対する意識を改善するために、生涯周期ごとの教育(注3)、インターネット放送・ウェブトゥーンなどを活用した生活密着型広報を強化し、著作権教育体験館(2022年開館予定)を介して、仮想・拡張現実(VR・AR)などの最新技術を活用した体験教育を拡大する予定である。

個人創作者とコンテンツ企業の従事者向けの著作権実務教育も強化する。

  • 地域著作権サービスセンター(2018年9カ所、2019年13カ所)を活用して教育へのアクセスを高め、各創作分野の特性を反映して著作権の登録や契約、侵害対応などの専門教育を実施する。

大学、文化施設などの民間と連携して著作権に対する意識を改善するコンテンツを拡散し、韓流コンテンツの主要進出国と協力し、現地での著作権意識を高める取り組みを多角化する計画である。

発明者への補償強化および職務発明活用の向上のための職務発明補償制度の改善策(案)

法人の職務発明が優秀な特許確保の主な源泉になっており、職務発明の重要性が高まり、関連紛争も頻発している。

※2017年の特許出願の割合:法人(79.6%)、個人(20.4%)

これを受け、職務発明者への補償を強化して革新的な意欲を高め、職務発明の成果の活用を促進するために、同方策を打ち出した。

大学・公共研が費用負担などを理由に海外出願や特許権の維持を放棄すれば、事業化の可能性がある多くの優秀な特許が死蔵する恐れがある。そのため、大学・公共研が海外出願や特許権の維持を放棄した場合、その権利を発明者に譲渡できるようにした。

国家機関に所属する非公務員の研究者や大学(院)の学生研究員が職務発明補償の過程で差別を受けないように、関連規定も整備する計画である。

さらに、研究機関が国家R&Dによって導出した特許の所有権を取得する過程でも 研究者から職務発明を承継して所有すべきという「発明振興法」上の原則を国家R&Dの関連法令にも明記する予定である。

2019 年知的財産の主な政策イシューの発掘(案)

「2019年知的財産の主要な政策課題の発掘(案)」には、知財委傘下の5つの専門委員会(創出、保護、活用、基盤、新知識)が発掘した2019年度政策化推進課題10件が盛り込まれている。

毎年、専門委員会の委員が現場での経験をもとに、次年度の推進政策イシューを発掘・研究して関係部処に提案・勧告し、関係部処はそれについて検討して推進計画、又は政策代案を委員会に提出する。

関係部処の推進計画は、第24回知財委員会(2019年3月予定)に上程され、知識財産戦略企画団は推進状況を点検し、委員会に報告する予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
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