知的財産ニュース 2022年までに知的財産(IP)金融の規模を2兆ウォンに拡大する

2018年12月11日
出所: 韓国特許庁

特許庁と金融委員会、「知的財産(IP)金融活性化総合対策」を発表

韓国特許庁と金融委員会は12月11日、政府大田庁舎で「知的財産(IP)金融(注1)活性化総合対策」を共同で発表した。

今回の対策は、資金難に悩む中小・ベンチャー企業がIPを活用し、よりスムーズに資金調達することができる土台になるだろう。この対策は機械、原材料、知的財産権といった動産を活用した中小・ベンチャー企業の円滑な資金調達を支援するために、5月に発表した「動産金融活性化推進戦略」の後続措置である。

第4次産業革命を迎えるなか、IPが国と企業の競争力および付加価値の源泉となり、その重要性は増している。しかし、不動産担保や信用度を重視する金融業界の慣行、IPの価値に対する認識の低さ、整っていない法制度、脆弱なインフラなどにより、韓国国内ではIPを金融に積極的に活用できずにいる。

*金融機関は中小企業に融資する際、不動産担保や信用度を中心とする(95.7%、『2017年中小企業金融利用および隘路実態』、中小企業中央会)

それにより、優秀な特許を保有しているものの、不動産担保が少ないうえ、信用度が低い技術集約型中小・ベンチャー企業は事業化資金の確保に頭を悩ませている。

これを受け、韓国政府はIP金融を活性化させることで、革新分野へと市中資金が自然に流入し、新規雇用創出および韓国経済の活力の向上につながるよう、今回の総合対策を打ち出した。

対策に盛り込まれた細部課題を忠実に履行して、今後5年間で約9,000社の中小企業がIP金融を利用し、より良い条件で資金調達を受けられるように支援し、2017年には3,670億ウォン台にとどまっているIP金融の規模を2022年までに2兆ウォン規模に拡大する計画である。

*支援企業数(目標):(2018)741社→(2020)1,600社→(2022)2,960社

*IP金融の規模(目標):(2018)4,500億ウォン→(2020)1兆ウォン→(2022)2兆ウォン

韓国政府は総合対策を実施することで、中小企業の優秀な保有特許が死蔵特許とならず、IP金融に支えられて起業や事業化につながり、5年間(2018~2022)約9,400人の新規雇用(注2)が創出されると見込んでいる。  

特許庁長は、「今回の対策は回収支援システムの導入など、現場の声をできる限り反映し、各種規制を画期的に改善してIP金融を拡大するとともに、持続可能な発展を図るために設けられた」とし、「今回の対策に盛り込まれた法改正案については、2019年中に立法措置を完了し、細部課題を滞りなく推進できるよう、金融委員会、企画財政部などの関係部処、金融機関と緊密に協力していきたい 」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195