知的財産ニュース 特許庁の紛争調停委57件、成功率40%を達成!

2018年3月6日
出所: 韓国特許庁

キッチン用品を製造・販売する小さい企業を運営するAさんは、自社の商標を模倣した製品が出回っていることを知った。直ちに法律代理人を雇い、多数の侵害者を相手取って長期間、法的紛争を行った。長期間にわたる紛争の過程でAさんは数千万ウォンの訴訟費用を支払い、紛争相手から脅迫されるなどして商標権を守り抜いた。しかし、Aさんが被った被害に比べ、補償額は満足できない水準であった。
長期間の訴訟が終わると、別の侵害者が現れ、Aさんはもう戦う力がなくなって落ち込んでいた。その時、知り合いから特許庁の産業財産権紛争調停委員会の話を聞いた。別途費用は不要で、短期間で紛争を解決することができるというメリットがあるとして半信半疑で調停を申請した。
手続きに応じて調停会議を行い、双方が十分に意見交換をし、専門家らの諮問や説得により、Aさんと侵害企業は合意点を見つけ、調停合意に達することができた。
調整が終わった後、Aさんは事務局を訪ねてきて、「数年間の紛争により、心身とも疲れ果ててしまった時に偶然、調停制度を知り、申請した」とし、「無料で手続きが進められ、専門家に自分の意見を存分に伝えることもできて良かった。相手との感情的なしこりも残らず、本当に助かった。もっと早く助けを求めればよかった」と感謝の気持ちを語った。

韓国特許庁は2017年に産業財産権(以下、産財権)紛争調停委員会を運営した結果、計57件の事件を解決し、約40%(22件、調停成功)の調停成功率を達成したと発表した。

*2017年の紛争調停件数:22件(成功)/ 54件(取下げ3件は除く)

これは、民事本案事件における調停の成功率である16%を大きく上回る数値で、産財権紛争調停制度が産財権分野の紛争解決に効果があるという裏付けである。

最近5年間(2013〜2017年)の処理件数の統計を見ると、計135件の紛争を処理し、平均調停額は1,300万ウォン、調停成功率は31%となっている。

特許庁の実態調査によると、産財権侵害紛争に巻き込まれたことがある企業の平均訴訟費用は約6千万ウォン、特許侵害訴訟期間は大法院(日本の最高裁判所に相当)まで平均40カ月が必要とされたことが明らかになった。経済的余裕がない中小企業は紛争解決に時間と費用を過度に消費し、企業運営に打撃を被るのが現状である。

特許庁の産財権紛争調停委員会を通じて紛争を解決する場合は、別途の申請費用は不要で3カ月以内にその分野の専門家らと合理的な解決策を導き出し、紛争の当事者がお互いが満足できる結果につながる。特に、申請のほとんどは中小企業であるため(最近5年間の申請事件のうち95%)、中小企業に役立つ制度として知られている。  

特許庁産業財産保護協力局の局長は「中小企業が産財権紛争調停制度を通じて告訴と審判を撤回し、紛争を円満に解決する事例が増えている」とし、「産財権紛争調停制度を通じ、戦わずにして勝つという孫子の兵法の知恵を借りることを勧めたい」と述べた。

調停の申請については産財権紛争調停申請書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを作成し、紛争調停委員会(ip.adr@korea.kr)に提出すれば良い。詳細とお問い合わせについては韓国知識財産保護院で運営する産財権紛争調停委員会の事務局(1670-9779)まで。

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