知的財産ニュース スタートアップに必要な知的財産(IP)サービス、特許バウチャーで負担は軽減し、利用は便利に

2018年2月8日
出所: 韓国特許庁

企業当たり年間最大6,000万ウォンを発給

2014年、Googleが32億ドルで買収したスタートアップ「NEST」の場合、約300件に至る特許ポートフォリオが高額買収の決め手となったと知られている。一方で2012年、モバイルアプリケーションを簡単に作れるソフトウェアを開発した韓国のベンチャー企業は、Googleからの3千万ドル投資を受ける直前まで進んだが、関連特許を確保していないという理由で失敗に終わった。

このように特許などの知的財産(IP)は、スタートアップのビジネスを競争会社から守るとともに、企業の価値を高め、投資誘致、業務提携やエグジット(買収および上場)を促進する。

韓国のスタートアップもIPの重要性について認識しているが、現金不足のスタートアップにとって数百万ウォンから数千万ウォンに至るIPサービス費用はかなりの負担であった。

韓国特許庁は今年から新規に施行する「スタートアップ(注1)特許バウチャー事業」を通じ、約10億ウォンで100社程度を支援すると明らかにした。

特許バウチャーを活用すると、今後、有望なスタートアップは必要なIPサービス(注2)や機関を自由に選択して利用できるようになる。

バウチャーはIP保有の有無、業歴、規模により、小型と中型の2種類がある。それぞれのバウチャー金額の自己負担金(30%、現金)を前払いした後、バウチャーをポイントで発給してもらい使用できる。

  • 小型バウチャー(500万ウォン以内):IPがない初期スタートアップが対象となる、立ち上げ3年未満、売上高10億ウォン未満
  • 中型バウチャー(2,000万ウォン以内):成長期・有望なスタートアップが対象となる、立ち上げ7年未満、売上高100億ウォン未満、出願または登録IP 1件以上を保有

支援対象の選定基準は、第4次産業革命関連の挑戦的な課題(注3)を追求する技術・IPを基盤にするスタートアップであり、書類と面接評価を経て選定される。

*スタートアップの多様なニーズに応えるために、バウチャーの再発給を含む、追加の支援策も用意した。 スタートアップは再発給申請ができ、年間最大3回まで申請可能である。サービス利用後、バウチャーに残高がある場合、自己負担金の割合(30%)は還付を受けることができる。

また、特許バウチャーに選定されたスタートアップが、海外進出時に予想されるIP紛争に備えたい場合、特許庁の「知的財産権紛争予防コンサルティング(韓国知識財産保護院)」と連携し、支援を受けることができる。

同事業で、IPサービスの提供を希望する機関(特許事務所・法人、その他のIPサービス企業など)は、サービス提供機関プール(Pool)に登録を申請し、各分野の基準を満たすと、登録できる。

特許庁産業財産政策局の局長は「革新成長のためには、スタートアップの核心資産である創造的なアイデアと新技術を、迅速かつ柔軟に保護することが重要だ」とし、「特許バウチャー事業を通じ、スタートアップが保有する知的財産の競争力向上だけでなく、スタートアップが希望するサービスと業者を自ら選択することで知的財産業界のサービス品質も高まると見込まれる」と述べた。

同事業への申請とIPサービス機関の登録は、2月12日(月曜)から3月9日(金曜)までであり、詳細については事業管理機関である韓国特許戦略開発院のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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