知的財産ニュース 特許庁、SKTのアンブッシュマーケティングを不正競争行為と判断

2018年1月17日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁は、平昌オリンピック組織委員会の要請を受けて行った、SKT(SK Telecom)による2018平昌オリンピック広報キャンペーン広告が、不正競争防止法に違反するかどうかを調査した結果、不正競争行為に当たると判断し、広告中止を是正勧告した。

不正競争防止法とは、不正な方法で他人の努力や名声にタダ乗りすることを禁じる法律である。特に、同法第2条第1号ナ目は、他人の営業上の標識などとの混同を生じさせる行為を禁止している。

特許庁は、同広告により、SKTが平昌オリンピックの公式スポンサー、又は組織委と組織上・財政上・契約上、ある関係があるものと誤認・混同させることで、組織委員会だけでなく、巨額の後援金を出したKTなど、複数の公式スポンサーの営業上の利益を侵害したと判断した。

同広告はスノーボードやスキー、スケルトンなど、冬季オリンピックの種目を背景にし、広報大使を務めているキム・ヨナ、スケルトンの国家代表選手であるユン・ソンビンなどをモデルに起用してオリンピックのメッセージを伝える内容で、2017年12月1日から2018年1月現在まで放送局で放送されている。

問題の部分は、広告の最後に出る「SK Telecom」という大きなフレーズの配置のほか、SKTを思い出させるBGMやスローガン、社名、製品名などを「平昌を応援する」、「See you in PyeongChang」などのフレーズと共に使ったことである。これにより、一般需要者は、まるでSKTが平昌オリンピックの公式スポンサーだと誤認・混同してしまうのである。

SKTは2013年、KTが組織委員会の公式後援の優先交渉対象者に選定されると、2014年に平昌オリンピックの広報大使を務めるキム・ヨナ選手を自社の広告モデルとして起用し契約した。また、通常、キャンペーン広告は放送局が主管して制作するが、広告制作会社に具体的に指示した状況が発見されるなど、オリンピック連携マーケティングを緻密に準備したとみられる。

SKTの広告についてオリンピックの関係者は、公式スポンサーであるKT、POSCO、ハンファグループなどの公告とSKTの広告内容を比べると、どちらが公式スポンサーであるか区別がつかないと述べた。

オリンピック、ワールドカップなどの大型スポーツ大会は、必要な資金を調達するために企業から財政的支援を受け、その企業に独占的なマーケティング権利を与える。

韓国の国会は公式スポンサーのマーケティング権利の保護と、アンブッシュマーケティングの禁止のために、昨年12月29日、「平昌オリンピック法」を改正し、国際オリンピック委員会(IOC)も1月10日にSKTの広告がアンブッシュマーケティング(注1)に当たるという立場を組織委員会に伝えた。平昌オリンピックの組織委員会は、すでに同広告の中止を要請している。

一方、SKTのアンブッシュマーケティングにより、独占的なマーケティング権利を侵害されたKTが、2018平昌冬季オリンピックの最大スポンサーであることが分かった。

特許庁産業財産保護協力局の局長は「平昌冬季オリンピックが成功裏に開催されることを願う国民の期待に便乗してオリンピック大会の財政基盤を損なう、大手企業のタダ乗り行為に警鐘を鳴らす必要がある」とし、「今後も大規模な国際スポーツイベントを招致するために、このようなアンブッシュマーケティングには厳しく対応する必要がある」と述べた。  

不正競争行為の被害については、特許庁の産業財産調査課(042-481-5190)、韓国知識財産保護院の不正競争調査チーム(02-2183-5834)までにお問い合わせを。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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