知的財産ニュース 無防備の有害物質関連特許出願、20年間2万件

2017年2月16日
出所: 電子新聞

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人体に有害な化学物質に係る特許審査が無防備になっていることが明らかになった。この20年間、有毒・禁止物質を活用した特許出願(申請)は、2万3,692件だったが、このうち、公衆衛生に脅威になるという理由で特許登録が拒絶されたケースは一件もなかった。

2月15日、国会産業通商資源委員会所属のチョン・ユソプ自由韓国党議員は、特許庁の資料を分析した結果、化学物質管理法上、有毒・禁止物質を活用した特許出願が20年余りの間(1997年~2016年10月)2万3,692件あったことを明らかにした。有毒物質は2万3,469件、禁止物質は223件だった。化学物質が入る生命工学、医薬・化粧品、有・無機化合物、高分子関連の特許出願全体29万2,145件の8.1%に上る規模だ。

化学物質管理法は、有害又は危害の化学物質について有毒、許可、制限、禁止、事故備え物質などに区分し、有害性の度合いによって製造、輸入、販売、保管・貯蔵、運搬・使用などを段階別に制限する。有毒物質の製造・販売は環境部の許可を受けなければならず、禁止物質の使用は試験又は研究・検査用に限って制限するなど化学物質は厳格に管理される。

特許法32条(特許を受けることができない発明)においても公衆衛生を害する発明は特許登録を拒絶することが規定されているが、有害化学物質の審査には適用されなかった。20年余りの間、特許法32条によって特許登録が拒絶された事例30件いずれも食品(24件)と生命工学(6件)など、有害化学物質とは無関係だった。

2006年10月、斗山(トゥサン)が禁止物質である「ベンジジン」で、特許を受けたことが代表的だ。特許庁は当時、危害性の有無を判断せず、化粧品・飲料の容器に使用するベンジジン化合物の製造方法を特許として登録した。チョン議員室は「2006年初め、ベンジジンは膵膓がん・膀胱がんを誘発する可能性から禁止物質に指定されていたため、特許登録を拒絶すべきだった」と指摘した。

2008年には、デンマーク企業の「ジメトエート」の製造法が特許登録された。猛毒性農薬成分で体の中で分解されず、がんを誘発する危険性があり、2006年環境部が禁止物質に指定したが、特許が登録された。そのほかに加湿器殺菌剤の原料物質であるPHMG・PGH・CMIT・MIT関連の特許出願1,207件のうち569件も登録された。オキシーサクサクを開発して販売したSKケミカルのCMIT・MIT殺菌剤の特許出願も101件ある。

チョン・ユソプ議員は「化学物質が特許出願された場合、審査をする過程で有害性・危害性と関連して環境部など関係機関の意見を反映しなければならない。有害・化学物質の特許審査を強化するよう、特許法の改正を進めるつもりだ」と話した。

イ・ギジョン記者 gjgj@etnews.com

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