知的財産ニュース 5Gにおけるコア技術である多重アンテナに注目を

2017年11月15日
出所: 韓国特許庁

大容量のコンテンツを高速で提供する、第5世代移動通信のコア技術である多重アンテナ関連の特許出願件数が最近、急増していることが分かった。

韓国特許庁によると、多重アンテナに関する特許出願件数は2013年には19件に過ぎなかったが、2014年には43件と倍増し、2015年には78件、2016年には100件と飛躍的に増加したことが分かった。

多重アンテナ技術は基地局に設置された100本以上のアンテナを利用し、データ転送速度および伝送品質を飛躍的に向上させる技術である。第5世代移動通信技術が近い将来、商用化されることを考えると、第5世代移動通信技術の中核である多重アンテナに関する特許出願の増加傾向は今後も続くとみられる。

2011年以降の技術別の出願動向を見ると、空間多重化(spatial multiplexing)技術が全体の45.2%(159件)、ビームフォーミング(beam forming)技術が34%(120件)、空間ダイバーシティ(spatial diversity)技術が20.8%(73件)を占め、空間多重化方式で高い伸びとなっている。これは比較的にアンテナサイズへの制限が少ない基地局に空間多重化方式を適用することが容易であるためだろう。

出願人別の動向を見ると、多重アンテナに関する特許出願は韓国企業が全体42%を占めており、続いて大学や研究所32.1%、海外企業25.8%の順であった。注目すべきは、年度別における韓国の大学や研究所による出願の割合が2014年の14%から2015年には21.8%、2016年には49%へと、持続的に増えてきたことである。これは、多重アンテナ技術の難易度が高く、実用化が容易ではないため、大学や研究所で研究を主導したためだろう。

特許庁移動通信審査課の課長は「多重アンテナ関連技術は、大容量かつ高品質のマルチメディアサービスが提供されている移動通信、モノのインターネット(IoT)、自動走行、ウェアラブルデバイスなどで重要な役割を果たすことが期待できる」とし「そこで今後、韓国企業がグローバル競争力を備えるためには技術開発だけでなく、関連特許権の確保と、競合社の特許状況を分析するなど、特許戦略の策定が何よりも重要」と強調した。

特許庁は、第5世代移動通信技術が含まれている第4次産業革命における技術のパラダイムシフトに対応し、技術の正確な審査のために、特許制度改善協議会および弁理士などの意見をまとめて「第4次産業革命に備える特実審査基準」を今年末までに設ける予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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