知的財産ニュース 韓国で米国特許を簡単に確保するには

2017年11月9日
出所: 韓国特許庁

韓米特許庁は2017年11月1日から「特許共同審査(CSP、Collaborative Search Program)」の第2次モデル事業を施行した。

CSPは韓国と米国に同一の発明が出願された場合、特許の判断に必要な先行技術情報を両国の審査官が共有することで、他の出願より迅速に審査する制度である。

特に、米国特許商標庁(USPTO) が約5百万ウォンの優先審査申請料を免除し、韓国企業による米国特許取得の時間やコストが激減する。

第1次モデル事業は2017年8月31日まで2年間、実施された。同期間、韓国企業と外国企業から112件(韓国企業77件、外国企業35件)が申請された。

審査処理期間は平均7.5カ月で一般審査に比べて3.5カ月短くなり、特許登録率は84.4%で一般審査に比べて25.2ポイント高くなっている。両国における審査結果(特許登録又は拒絶)では85.3%が一致した。 *2017年10月31日時点で特許処理期間、特許登録率、審査結果の一致率を算出

一方、第1次モデル事業の実施中、国内外の出願人から審査処理期間の短縮や審査品質向上に貢献するという好評を受けたにもかかわらず、申請要件が厳しく、一部の手続きが不合理だという意見があった。

そのため、今回の第2次モデル事業ではそうした問題点を改善した。

まず、従来はCSPに申請する当時、両国の出願書に記載されたすべての発明が同一でなければならなかったが(全請求項が同一)、代表発明だけ同じであってもできるように(独立請求項のみ同一)申請要件を緩和した。

次に、米国ならではの独特な制度*により、CSPを使い両国が共有した先行技術情報であっても出願人がこれを米国に重複して提出しなければいけないという負担があったが、手続きを簡素化することでこの問題を解決した。
*米先行技術提出制度(Information Disclosure Statement):審査官が特許要件を判断する際における重要な情報を出願人が提供する義務であり、違反した場合は特許権行使が制限される。

今後特許庁は、韓国企業が他の国でも簡単に特許を確保できるよう中国など主要国とのCSPを拡大する予定である。 *CSPに関するお問い合わせ:特許庁のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、特許審査制度課(042-481-5400)

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