知的財産ニュース 特許庁、「2016年知的財産活動実態調査」を発表

2017年1月31日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は『2016年知的財産活動実態調査』の結果、国内企業の職務発明補償制度の導入率が着実に増加 (2015年55.6%→2016年60.2%)していると発表した。

知的財産活動実態調査

調査機関
2016年8月8日~11月7日(3カ月、韓国知識財産研究員遂行)
調査対象
知的財産活動実績のある企業及び大学・公共(研)

産業財産権2件以上出願(2013~2014年)及び1件以上登録(2011~2015年)した企業及び大学・公共(研)から抽出・調査

母集団
26,199個(企業25,947社、大学・公共(研)252カ所)
標本
4,667個(企業4,415社、大学・公共(研)252カ所)
最終回答
1,408個(企業1,210社、大学・公共(研)198カ所)

特に、大企業と中堅企業の職務発明補償制度の導入率が大幅に増加した(大企業: 2015年77.7%→2016年91.7%、中堅企業: 2015年71.6%→2016年86.1%)。しかし、中小企業における職務発明導入の割合は依然として低迷しており(2015年46.2%→2016年48.8%)、中小企業の職務発明制度導入の拡大に向けた認識向上及び政策的支援が必要なものとみられる。

知的財産インフラの面では、担当組織※を保有している企業の割合は小幅に減少したが(2015年75.1%→2016年72.9%)、独立した部署及び専門担当人材(以下、専担人材)の保有比率は増加した(独立部署保有2015年5.9%→2016年8.2%、専担人材: 2015年20.6%→2016年22.0%)。これは、企業や大学・公共(研)が知財紛争への対応及び活用強化に向け、知的財産人材の確保に努力した結果と評価される。
※知的財産担当組織:法務/研究開発部署、独立専担部署、その他の部署

知的財産活用の面では、企業の特許活用比率が小幅減少しており(2015年77.4%→2016年75.3%)、これから高品質の知的財産権の創出とともに知財権の取引・移転・事業化を通じた知的財産の付加価値の活用戦略を積極的に推進しなければならないものとみられる。

知的財産保護のための予備評価の修行比率は小幅上昇したが(2015年39.3%→2016年40.1%)、他の項目に比べて相対的に低い水準であり、予備評価の拡大に向けたより積極的な広報が求められる。

主な調査結果

1.企業の職務発明制度の導入

職務発明補償規定を保有・活用する比率は60.2%で前年比4.6ポイント増加
※職務発明補償制度導入の割合(企業):2015年55.6%→2016年60.2%
※大企業:77.7%→91.7%、中堅企業:71.6%→86.1%、中小企業:46.2%→48.8%

2.企業のインフラ保有

知的財産担当組織※を保有している企業の割合は小幅減少したが、独立専担部署の保有比率及び専担人材の保有比率は増加
※知的財産担当組織:法務/研究開発部署、独立専担部署、その他の部署

担当組織を保有している比率は2016年72.9%で、前年比2.2ポイント減少
※担当組織保有比率(企業):75.1%(2015年)→72.9%(2016年)

独立専担部署として保有している割合は2016年8.2%と前年比2.3ポイント増加し、専担人材を保有している比率も2016年22.0%と前年比1.4ポイント増加
※独立専担部署として保有している比率(企業):5.9%(2015年)→8.2%(2016年)
※専担人材の保有比率(企業):20.6%(2015年)→22.0%(2016年)

3.企業の知財活用

企業の保有特許に占める活用特許の割合は小幅減少したが、事業化の比率は増加
企業の保有特許比の活用比率は2016年75.3%と2.1ポイント減少したが、事業化の比率は2016年57.8%と0.5ポイント増加
※特許の活用比率(企業):77.4%(2015年)→75.3%(2016年)
※特許の事業化の比率(企業):57.3%(2015年)→57.8%(2016年)

4.企業の知的財産保護

出願などに先立ち、予備評価を行う企業の割合が増加しており、公式的な権利保護手続を行う企業の割合も増加
出願などに先立ち、予備評価を行う企業の割合は2016年40.1%で前年度比0.8ポイント増加
※予備評価、修行の割合(企業):39.3%(2015年)→40.1%(2016年)

産業財産権の出願などの公式的な権利保護手続を行う企業の割合も2016年80.4%で前年度比9.2ポイント増加
※公式的な権利保護手続き進行の割合(企業):71.2%(2015年)→80.4%(2016年)

5.大学・公共(研)のインフラ保有

大学・公共(研)の知的財産担当組織の保有比率が増加しており、担当者の保有比率も増加
担当組織の保有比率は2016年96.9%で前年比0.8ポイント増加し、担当者の保有比率も2016年52.6%で前年比1.4ポイント増加
※担当組織保有比率(公共):96.1%(2015年)→96.9%(2016年)
※担当者の保有比率(公共):51.2%(2015年)→52.6%(2016年)

6.大学・公共(研)の知的財産活用

大学・公共(研)の保有特許に占める活用特許の割合は2016年34.6%で、前年比1.7ポイント増加
※特許の活用比率(公共):32.9%(2015年)→34.6%(2016年)

7.大学・公共(研)の知的財産保護

出願などに先立ち、予備評価を遂行する割合は63.8%(2016年)で、前年度比2.0ポイント増加
※予備評価修行割合(公共): 61.8%(2015年)→63.8% (2016年)

活用計画

特許庁は今回の調査結果の発刊物を関係機関や各省庁に配布し、関連政策の推進に積極的に反映する計画だ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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