知的財産ニュース 中国、商標無断登録防止に向け「審理標準」を改正

2017年2月23日
出所: 韓国特許庁

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国内で事業の基盤を強化してきたアパレル企業I社は、自社製品が中国人旅行者から高い人気を得ていることを受け、中国進出を準備していた。その過程で中国現地の人に自社の主力商標を先取りされたことを知った。法律的対応も検討したが、勝ち目がないという専門家の意見に従って5万人民元(約900万ウォン)を払って商標を譲受するしかなかった。

このように中国で無断登録され対応に困っている韓国企業の商標の数は、昨年末までの時点で1,000をはるかに上回ることが分かった。

しかし、これからは中国に先取りされた自社の権利を取り戻すための法律的対応が一層容易になる見通しだ。中国国家工商行政管理総局(以下「商標当局」)が商標ブローカーの悪意的な商標の先取り行為に対する無効判断基準を「商標審査及び審理標準」(以下「審理標準」)に新たに反映したためだ。

従来の審理標準においても、他人が中国内ですでに使用しており、ある程度影響力を持つ商標を不法利益の目的で登録することについて、先使用権者を保護する条項があったが、韓国企業にはほとんど助けにならなかった。

しかし、今年1月に中国商標当局が公開した審理標準では、出願人が大量の商標に対する権利を獲得した後、実際に使うこともなく使用する準備もなく、積極的に商標の買入れを勧め、高額の譲渡手数料を要求する場合などについては、使用意思の不足と判断し無効を言い渡すことができるようにした。

中国商標法の専門家は「商標ブローカーによる大量の商標無断登録は、韓国企業が被害を受けている代表的な事例だが、今回の改正で商標ブローカーに対応できる根拠が確保されたという点で非常に大きな意味があり、中国商標当局が商標ブローカーの誤った慣行を是正する狙いがあったとみられる」と話した。

特許庁は、韓国知識財産保護院を通じて自社の商標を先取りされて海外進出に困難を抱えている企業に無効審判、異議申立て、不使用取消審判などの法律対応や、代替商標出願、譲渡・譲受交渉戦略などを提供するK-ブランド保護コンサルティングの支援を行っており、2017年にも約150社の企業を支援する予定だ。

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