知的財産ニュース 韓国における人工知能関連技術の特許出願動向

2016年3月21日
出所: 韓国特許庁

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世界の高い関心を集めた人工知能アルファ碁とプロ囲碁棋士、イ・セドル9段の歴史的な対決は、韓国の産業技術界に多くの示唆を与えた。人間がコンピューターに敗北したという恐怖を感じるよりは、グーグルディプマインドが開発したアルファ碁の技術力に驚くとともに、韓国の人工知能の現在の技術水準に対する疑問も高まっている。アルファ碁の主要技術は、深層神経網(Deep neural network)と高級ツリー探索(Tree Search)を利用して自ら学習するマシンラーニング(Machine Learning)アルゴリズムと知られている。

特許庁によると、人工知能に係る国内特許出願を自然言語検索方法で分析した結果、過去10年(2006年~2015年)間の特許出願は計2,638件と、年平均約5%ずつ増加した。

※自然言語検索:文章単位で検索できる検索方法で「人工知能、マシンラーニング、人工神経網、ディープラーニング、意思決定」を検索語として使用

年度別には2010年(212件)、2011年(288件)、2012年(295件)、2013年(371件)までは着実に増加していたが、その後、2014年(367件)、2015年(301件)は小幅下落した。

応用産業別特許出願の現況

人工知能技術は、ほとんど全ての産業分野に活用可能な代表的な融合技術である。 応用産業別に出願内容を見ると、主にコンピューター(64.1%)、通信(9.9%)のようなIT分野に研究開発が集中された。次いで精密機器(6.1%)、医療機器(4.6%)、電気(4.1%)分野で研究開発が行われた。特に、デジタルコンピューティング、経営管理、有線・無線通信、イメージデータ処理等に人工知能技術が活発に利用されている。

一方、化学(0.1%)、食品(0.1%)、衣類(0.1%)、建築(0.1%)分野等、非IT分野においては特許出願が活発化していないことが分かった。

出願主体別特許出願の現況

多出願順位を見ると、サムスン電子が163件と人工知能に係る特許出願件数で最多を記録した。次いでETRI(129件)、クォルコム(86件)、マイクロソフト(74件)、KAIST(58件)等の順に研究開発が活発に行われることが明らかになった。

出願主体別では、企業が31%、大学26%、外国人25%、個人9%、研究所9%等の順に人工知能関連の特許が出願された。

一方、この10年間海外で出願された人工知能関連特許を見ると、米国では24,054件、日本では4,208件で、これは韓国出願(2,638件)のそれぞれ9.1倍、1.6倍の水準となる。

特許庁のパク・ジェヒョン コンピュータシステム審査課長は「国内の人工知能技術が普及しているわけではないため、特許出願がまだ多くないのは事実だ。しかし、人工知能技術の活用性は無限で、多様な産業分野で研究開発を通じてさらに多くの特許を確保できるよう、高い関心を持つことが重要だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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