知的財産ニュース 森林病害虫防除技術に関する特許出願が活発

2016年4月4日
出所: 韓国特許庁

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植木日を迎え、森林緑化の重要性が強調されている。森林の公益的価値は126兆ウォンに達しており、国民1人当たり年間249万ウォンの森林の恩恵をを受けていると推算されるという報告書も発表された。最近では、造成された森林を持続的に保存するための技術開発にも関心が高まっている。

※国立森林科学院「2014年基準森林公益機能評価」

森林の重要性が増し、森林破壊の主な原因とされる病害虫防除のための環境配慮型技術開発が注目を集めている。これまで森林病害虫防除技術は、化学的殺生物製剤関連の技術開発中心から環境配慮型防除技術へと、トレンドが変化してきていることが分かった。

特許庁によると、2006年から2015年までの10年間、森林病害虫防除技術に関する特許は計344件出願された。 2006年29件だった特許出願件数は着実に増加し続けたが、2011年54件をピークに減少傾向に転じた。これは化学的殺生物製剤関連の出願件数が急減したためと分析される。

※特許出願件数:29件(2006年)→47件(2009年)→54件(2011年)→28件(2013年)→28件(2015年)

化学的殺生物製剤関連の出願件数は2011年の出願件数全体(54件)の74.1%(40件)を占めた。以降急激に減少し、2015年(28件)は全体の14.3%(4件)を占め、割合が減少した。

一方、環境配慮型防除技術(誘引用トラップ、天然物製剤、生物学的防除)の割合は急激に増加している。 2011年出願件数全体(54件)の11.1%(6件)に過ぎなかったのが2015年(28件)には64.3%(18件)まで増えた。

※環境配慮型防除技術出願件数:6件(2011年)→8件(2012年)→8件(2013年)→11件(2014年)→18件(2015年)

環境配慮型防除技術の例としては、捕獲器の中にフェロモンを位置させ、捕獲器から放出されるフェロモンで害虫を誘引して除去する技術がある。フェロモンとは、マツバノタマバエやマツ材線虫等の昆虫が交尾等のために相手を誘引するときに放出する物質のことだ。この技術は、森林の土壌や植物に化学物質による悪影響を与えずに病害虫を防除できるという長所を持っている。

もう一つの事例は、昆虫又は線虫の内臓等に感染されると毒性を発揮するは微生物を利用した生物学的防除に関する技術がある。この技術の特徴は、特定の昆虫又は線虫だけを除去できるため、他の動植物には被害を与えないという点にある。

この10年間、森林病害虫防除技術(344件)のうち、化学的殺生物製剤に関する技術は全体の56.7%(195件)と最も高い割合を占めた。環境配慮型防除技術のうち、昆虫を誘引して殺虫するトラップに関する技術が11.3%(39件)、銀白楊の抽出物と四君子の抽出物等の天然物を利用した殺生物製剤に関する技術が9.9%(34件)、寄生天敵や微生物を利用した生物学的防除に関する技術が8.1%(28件)だった。その他の技術(14.0%、48件)は、病害虫の感染有無を確認するキット、害虫防除用の電気衝撃機、病害虫発生木の活用方法等がある。

特許庁のク・ボンギョン農林水産食品審査課長は「山に木を植えて森林を造成することも重要だが、森林の生態系を健全に保ち、造成された森林を安全に保全していくことも非常に重要だ。こうしたことから今後、環境にやさしい病害虫防除技術はさらに発展していくだろう」と述べた。

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