知的財産ニュース 特許庁、海外知財権訴訟保険を追加発売

2016年10月31日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、輸出企業の知財権紛争への対応力を向上させるために、今年5月と8月に発売された「アジア・オセアニア専用団体保険」と「農食品分野商標・デザイン権専用団体保険」に続いて、10月「北米・欧州専用団体保険」、「グローバル知的財産権総合保険」等を新たに追加で発売した。

「知財権訴訟保険」とは、海外で知財権紛争が発生した際にかかる訴訟及び代理人費用等を保障する保険であり、特許庁は、中小企業の安定的な経営と輸出競争力の向上に向け保険商品の開発に努めてきており、今年計4つの商品を開発して運営している。

今回、新たに発売された「北米・欧州専用団体保険」は過去5年間、中小企業の知財権侵害紛争が最も多く発生した米国での紛争費用等を保障する商品だ。

「グローバル知財権総合保険」は、中小企業だけでなく、中堅企業も加入することができるほか、紛争地域、保障内容、保険料等について企業側が自由に選択することができるため、韓国輸出企業のIP紛争リスクの軽減に貢献できるとみられる。

※「韓国企業の海外知的財産権紛争実態調査」(韓国特許庁、2015年6月発行)の侵害紛争経験企業の調査結果、過去5年間中小企業が特許侵害紛争に遭った国に占める米国の割合は28.8%と最多だった。

現在運営中の保険商品について加入保険料の最大70%まで政府が支援し、中小企業が団体で加入する場合、納入保険料の10%まで追加の割引を受けられるため、企業負担額ははるかに低くなる。

特許庁の「2015年企業の海外知的財産権紛争実態調査」によると、中小企業が海外で知財権紛争に巻き込まれる割合は56.4%と大企業(6.9%)に比べ高い上、知財権の専門人手不足等により紛争発生時に多くの費用と時間がかかるのが実情だ。

知財権訴訟保険に加入する場合、紛争発生時にかかる費用について補償を受け負担を減らせる上、迅速な対応が可能になるため、輸出競争力を高めることができる。

特許庁のナム・ヨンテク産業財産保護支援課長は「特許庁は、韓国企業の輸出先や海外IP紛争の動向等を考慮した多様な保険商品の開発を推進してきており、特に、保険料は下げ保障は高める工夫をした。各企業が訴訟保険をうまく活用して紛争への対応力を強化することを期待する」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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