知的財産ニュース スマホのカメラレンズに関する特許出願が増加

2016年6月20日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォンカメラの性能は、最近驚くほどのペースで向上している。一時悪い画質の代表格と考えられていた携帯電話のカメラが従来のデジタルカメラ市場まで委縮させている。

スマートフォンカメラを巡る技術競争は、イメージセンサーの画素数競争から始まり、最近ではレンズの争いへと広がっている。画素数が増えると一つの画素が占める面積は狭くなるため、レンズの口径が大きくなるほど光を取り込む量も多くなる。また、画素数の増加に対応してレンズの解像度を高めなければ写真の品質向上は期待できない。しかし、超スリムフォンが主流となっている今、レンズモジュールには大きさの制約があり、性能向上に加え小型化及び軽量化を同時に追求しなければならない課題がある。

特許庁によると、スマートフォン用カメラレンズの特許出願は、2011年から2015まで計707件だった。年度別出願現況は2011年102件、2012年122件、2013年155件、2014年162件、2015年166件と、着実に増加している。

技術別では「自動焦点(AF)及び駆動系技術」が39.9%と最も多く、「ハウジング及び組立構造技術」20.2%、「レンズ光学系、絞り及びフィルター技術」13.9%、「手ブレ補正(OIS)技術」11.3%、「製造及び検査技術」10.0%、「ズーム及び多重画角技術」4.7%の順で出願が多かった。特に「手ブレ補正技術」と「自動焦点(AF)及び駆動系技術」の出願増加が目立った。これは、高性能・高機能カメラに対する最近の消費者のニーズを反映したものと見られる。

出願人別では、サムスン電機161件(22.8%)、LGイノテック158件(22.3%)、サムスン電子38件(5.4%)、LG電子38件(5.4%)の順となり、ジャファ電子35件(5.0%)、オプティス26件(3.7%)、セコニクス20件(2.8%)等の中堅企業も技術開発を意欲的に進めていることがうかがえる。

一方、PCT国際特許出願は計1288件で、LGイノテック81件(6.3%)、サムスン電機45件(3.5%)、サムスン電子21件(1.6%)、アップル21件(1.6%)、ラガン精密(台湾)21件(1.6%)の順となり、国内企業が上位の大半を占めていることが明らかになった。

特許庁の関係者は「スマートフォンメーカーと部品・素材メーカーが複雑に絡み合っている中、スマートフォン市場の競争が日々激化しているだけに、スマートフォンの最も重要な競争ポイントとされるカメラのコア技術であるレンズに関する特許競争力を守るための努力が必要だ」と述べた。

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