知的財産ニュース 半導体集積度向上技術の出願動向

2016年5月13日
出所: 韓国特許庁

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半導体回路パターンの微細化に中核的に使用される露光技術[1]が液浸露光方式[2]から極端紫外線(EUV)露光方式[3]に進化している。

半導体チップの集積度を向上させるために回路パターンを微細化する技術は、半導体のウエハー[4]処理量(throughput)[5]の向上に不可欠な手段であり、このような半導体チップの回路パターンの微細化は、半導体ウェハーを蒸着工程、露光工程、食刻工程、拡散工程等の加工過程を繰り返すことによって行われるが、このうち露光工程が全体の回路パターンの微細化において付加価値基準70%以上を占めている。

露光工程における半導体回路パターンの微細化の方法としては、投影光学レンズを利用した液浸露光方式(多重露光[6]を含む)と、反射鏡を利用した極端紫外線(EUV)露光方式がある。

液浸露光方式で多重露光の場合、現在主に回路線幅が10nm程度のレベルまでパターンの微細化が可能である。その反面、極端紫外線(EUV)露光方式は、多重露光をしないため、露光回数を大幅減少できるという長所はあるが、まだメモリー半導体を十分に量産できるほどには半導体ウェハーを迅速に処理しないという短所がある。

特許庁によると、2006年から2015年まで国内に出願された液浸露光方式に関連する特許出願は2,680件があり、このうち多重露光を利用する液浸露光方式関連出願は392件、極端紫外線(EUV)露光関連出願は2,054件だった。

調査期間(2006年~2015年)の間、液浸露光方式関連出願は年平均17.2%ずつ減っている反面、極端紫外線(EUV)露光方式関連出願は、2011年までは年平均10.3%ずつ増加し、2012年からは年平均10.3%ずつ減少する傾向を示しているが、全体的には年平均1.2%ずつ増加していることが分かった。

液浸露光方式に関連する特許出願企業別の現況を見ると、ニコン(日本、1,025件、38%)、富士フィルム(日本、228件、8%)、ASML(オランダ、217件、8%)、JSR(日本、183件、7%)、サムスン電子及びSKハイニックス等国内企業(韓国、154件、6%)、信越化学(日本、126件、5%)の順であり、このうち多重露光関連特許出願は、SKハイニックス(韓国、68件、17%)、サムスン電子(韓国、54件、14%)、信越化学(日本、47件、12%)、ASML(オランダ、34件、9%)等の順となっている。

全体的に液浸露光方式は、国内企業よりは外国企業が主導しているが、液浸露光方式のうち、多重露光に関しては国内企業が主導していることが確認された。

極端紫外線(EUV)露光方式に関連して、企業別特許出願現況を見ると、ASML(オランダ、243件、12%)、カールジャイスエスエムティ(ドイツ、189件、9%)、富士フィルム(日本、168件、8%)、AGC旭硝子(日本、176件、8%)、SKハイニックス(韓国、137件、7%)の順となっており、外国企業を中心に特許出願が行われていることが確認できる。

調査期間中の全体出願件数における国内企業及び外国企業間の特許出願動向を見ると、液浸露光方式の場合、国内企業と外国企業は年平均1.1%と16.2%ずつ減少した。極端紫外線露光方式の場合、国内企業は2008年をピークに特許出願が減少したが、2012年から年平均22.4%ずつ増加した反面、外国企業は2011年をピークに年平均19.2%ずつ減少していることが分かった。

特許庁のジェ・スンホ半導体審査課長は「半導体回路パターンの微細化露光技術が液浸露光方式から極端紫外線露光方式へと出願傾向が変わりつつあり、国内企業が主に多重露光を利用した液浸露光方式に主力しているが、国内企業も極端紫外線(EUV)露光方式に関連する特許出願を持続的に拡大しないと、今後半導体製造工程分野で確固たる優位を占めることはできないだろう」と強調した。


注記

[1] 露光技術とは、フォトマスクを通じて光や電子線を回路パターンが形成れるウエハー上に露出させる技術のこと
[2] 液浸露光方法とは、露光の際、光の屈折率を高めるため、ウエハーと投影光学レンズの間に水を投入して実施する露光方法のこと
[3] 極端紫外線(EUV)露光方法とは、光源に使用する極端紫外線を鏡で反射させ、マスク上のパターンをウエハーで伝写する露光方法のこと
[4] ウェハーは、半導体チップの主材料であって、主にSiやGaAsを使用する
[5] 処理量(throughput)は、単位時間内に処理できるウェハーの数量を意味する
[6] 多重露光方式は、線幅の解像度を高めるため、同一層露光後、継続して追加露光を行う方式であり、現在二重及び四重露光方式によるパターン微細化が最も多く行われている。

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