知的財産ニュース 映像口述審理等、国民中心特許政策の成果拡大

2016年7月4日
出所: 韓国特許庁

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特許庁と政府3.0推進委員会は、政府3.0の趣旨に従って「特許審判映像口述審理」を実施して特許顧客の利便性を向上させ、「特許ビックデータを活用した個別対応型R&D戦略(以下IP-R&D)」を提供して中小企業の競争力を高めているとの報告を行った。
※7月4日「特許審判遠隔映像口述審理の実施及び特許ビックデータを活用した個別対応型R&D支援」というタイトルで国務会議に報告

※政府3.0:国民が中心となる政府を実現するためのあらゆる政府革新努力

  1. 政府が持つ情報とデータを国民に開放共有(透明な政府)
  2. 省庁間の仕切りを取り払って仕事をきちんとする政府を実現(有能な政府)
  3. 国民一人一人が幸せな個別対応型サービスを提供(サービス政府)

1. 特許審判における遠隔映像口述審理の実施

特許庁は、ソウル-大田間遠隔映像口述審理システムを構築し、当事者の移動時間と費用を減らしただけでなく、当事者の都合のいい時に口述審理ができるようにした。
※審判口述審理:特許紛争時に両当事者が審判廷に出席して自分の主張を展開する制度

首都圏に居住するほとんど(90.5%)の当事者は自分の意見を十分に展開できる口述審理を好むにもかかわらず、
大田にある審判廷へ移動するのにかかる時間と費用のために口述審理を受けることに負担を感じていた。

これを受けた特許庁は、政府3.0の趣旨を生かして特許審判口述審理を映像で実施することにした。
※審判当事者と代理人が集中的に分布しているソウル-大田間の遠隔映像口述審理システム構築(2014年4月)

映像口述審理は世界でも類を見ない行政サービスであり、移動時間やコストが削減できる上、都合のいい時に口述審理ができるので利用者数が増加している。
調査結果、95%が満足しており、97.6%が再利用する意思を明らかにする等、顧客満足度が非常に高かった。
※映像口述審理件数(口述審理件数全体に占める割合):2014年下半期76件(24%)→2015年上半期79件(24%)→2015年下半期110件(35%)→2016年上半期119件(39%)

今後、特許庁は、審判官面談と技術説明会にも遠隔映像システムを活用する予定だ。

2. 特許ビックデータを活用した個別対応型R&D支援(IP-R&D)

また、特許庁は、特許ビッグデータを活用した個別対応型R&D戦略を提供して、中小企業に最適の研究開発の方向性を提示し、ライバル社の特許技術を回避しつつ、ライバル社を圧倒する優秀特許を創出することも支援している。

中小企業は海外企業の特許攻勢により紛争が発生すると、人材と資金不足で後の祭りのように対処し、勝敗を問わず訴訟費用により存亡の危機に直面する場合がほとんどだ。
※韓国企業の特許紛争の現況:(2009)151件→(2011)278件→(2013)340件

こうしたことから特許庁は、特許ビックデータ※を活用して個別中小企業の特性に合うR&D戦略を支援する案を策定した。
※特許ビッグデータ:技術的問題に対する多様な解決策が記録されており、技術変化の方向を容易に把握できる有用な資料。全世界に公開された累積特許は3億件で、技術知識の80%が特許文献に公開され、このうち75%は特許文献にのみ公開

その結果、中小企業はグローバル大手企業と輸出契約を締結したり、新技術の研究開発期間を短縮する等、多くの成果を挙げてきた。

今後、特許庁はIP-R&D支援事業を素材・部品分野から産業分野全体に拡大し、特許以外にブランドやデザインまで総合的に支援する計画だ。

チェ・ドンギュ特許庁長は「政府3.0の価値を特許行政業務全般に拡大して、国民中心の特許行政サービスが提供されるよう持続的に努力する」と述べた。

ソン・ヒジュン政府3.0推進委員長は「政府3.0の核心は、既存の供給者中心のサービスを、需要者中心に見直して不要な費用を減らしていくことだ」と話した。

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