知的財産ニュース 2014年政府R&D特許成果の分析結果を発表

2015年12月23日
出所: 韓国特許庁

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政府の研究開発(R&D)により生まれた特許成果を調査・分析した結果、政府R&D特許の量的成果及び技術移転件数は増加し続けているが、特許の質的水準は国内に出願した外国人に比べ依然として低く、技術移転規模も大きくないことが分かった。

特許庁は過去5年間(2010年~2014年)、政府R&D事業により創出された特許成果の量的・質的水準及び活用・管理の現状等を調査・分析し、その結果を22日に発表した。

量的・質的水準及び活用の現状

特許庁によると、政府R&D事業により創出された国内特許出願は2014年27,005件と、国内特許出願全体(210,228件)の12.8%(2010年10.6%)を占めた。過去5年間の年平均約10.7%ずつ増加して特許出願全体の増加率の2倍となり、特許生産性も1.53と、米国及び日本に比べ非常に高かった。
※研究開発費10億ウォン当たり特許出願数

特許出願現況及び政府R&Dの割合(単位:件、%)

政府R&Dと海外主要研究機関の特許生産性比較

これに対し、特許の質的水準は多少低いことが明らかになった。過去5年間の登録特許を分析した結果、政府R&Dの優秀特許(上位3等級)の割合は国内に出願した外国人の30%水準だった。
※特許価値評価システム(SMART)優秀特許比率(政府R&D)12.5% vs 外国人41.7%
OECD特許品質指標(PQI)優秀特許比率(政府R&D)13.0% vs 外国人49.0%

一方、政府R&D特許の技術移転件数は2014年2,096件と、ここ5年間年平均17.7%ずつ増加した。ただ、1千万ウォン未満の少額技術移転が年平均25.6%(2010年309件→2014年769件)と急増している上、契約1件当たりの技術移転金額も減少傾向にあり、改善が必要であると分析された。
※2010年42.8→2011年35.5→2012年42.4 →2013年33.1 →2014年23.4百万ウォン

特許成果の収集・管理の現状

すでに出願成果として提出された後、2014年に登録成果として提出された特許成果を調査した結果、調査対象の43.3%(4,954件/11,449件)が出願・登録成果のR&D課題情報が異なり、これを一致させる必要があった。

一方、この5年間、個人名義で登録された特許成果(2,301件)に対する実態調査を実施し、研究機関名義にと権利の還元が必要な968件(42.1%)を確認し、関連機関で名義の変更を行った。
※出願・登録の名義者が個人である場合であって、個人所有が適切であるかどうかを検討する必要のある対象

さらに、特許登録後の年次別管理実態を分析したところ、政府R&D特許の維持率は民間に比べ登録後4~8年目までは高いが、年次料負担が増える7~9年目に多くの特許が諦められ、9年目からは民間の特許維持率と逆転することが分かった。
※(政府R&D特許登録維持率)5年目:89.7% / 9年目:52.9%
(民間R&D特許登録維持率)5年目:77.7% / 9年目:55.2%

政府R&D特許成果に関する2016年重点推進事項

特許庁は、今回の政府R&D特許成果の分析結果に基づき支援事業を改善し、来年にも多様な支援政策を推進する計画だ。

まず、政府R&D特許の質的水準の向上に向け、技術開発後、特許出願を準備する過程で優秀技術を選別し、戦略的に権利化する「政府R&D特許設計支援」プログラムを導入する。
※2016年予算:22億4千万ウォン、大学・出捐研の重大型R&D課題56個を支援予定

未活用特許の活用可能性を診断し、特許管理戦略(維持/放棄)を講じる「公共機関保有特許診断」事業も新たに推進し、大学・公的研究機関の体系的な特許管理をサポートする。
※2016年予算:4億ウォン、未活用特許を多数保有する大学・政府出捐研究機関10カ所を支援予定

特許調査・分析を活用した政府R&D段階別支援事業

政府R&D特許成果と収集・管理過程の誤った慣行の改善にも積極的に取り組む。

現在、特許成果は出願成果と登録成果に区分しR&D担当部処が別々収集している。この過程で同一な発明を記載した1つの特許出願が複数の課題の出願/登録成果として管理されるケースが生じる。

これを改善しようと、R&D部処は出願成果のみを正確に収集し、その出願成果が登録されれば特許庁で登録成果と確認してR&D部処に提供するという形に特許成果収集体系の改善を進めた。関係部処と協議を完了(2015年10月)し、2015年政府R&D特許成果収集(2016年初)から適用する。

政府R&D特許成果収集体系改善の前後比較

改善前

改善後

出願/登録成果を各R&D部処が研究者から収集

R&D部処は出願成果のみ収集

登録成果は特許庁が提供

また、国家研究開発事業の成果が私的に利用されないよう、徹底した管理を行う予定だ。個人名義特許保有者による不当なR&D事業参加の制限を強化(現行1年→改善2年)するとともに、個人名義特許の現況を定期的にモニタリングする。さらに、関連規定や違反事例をまとめた「国家R&D特許管理ガイドライン」を制作し、研究機関及び研究管理期間に配布(2016年初)する計画だ。

今回の特許成果調査・分析結果は2016年初に最終報告書にまとめ、特許庁のホームページ及び政府R&D特許成果管理システムに公開する予定だ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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