知的財産ニュース 商標ブローカーによる商標出願が大幅減少

2015年11月16日
出所: 韓国特許庁

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特許庁によると、2015年10月時点の商標ブローカーによる新規出願は月平均29件(合計286件)と、2014年月平均523件(合計6,276件)の18分の1に急減した。登録件数も2014年の計133件から2015年計17件へと、大幅に減少した。

※商標ブローカーとは、自社商品の出処表示として商標を出願するのではなく、他人への譲渡や使用料要求を狙って商標の抜け駆け出願・登録を業にする者を指す。

商標ブロッカーによる出願・登録推移

商標ブローカーが先に商標登録をした後、相手に商標権を侵害されたとして警告状を送って和解金又は使用料を要求してくるため、理不尽な被害に遭う零細業者や新規創業者が多かった。

こうしたことから特許庁は、商標ブローカーの根絶を政府100大非正常の正常化中核課題として指定し、あらゆる対策を進めてきた。

まず、抜け駆け出願・登録が疑われる出願人を選び出した後、審査システムにリストを搭載してこれらの人による出願については厳格な審査を行う他、不正な目的が疑われる出願商標については、審査官職権調査及び登録拒絶を強化する等の方法で商標ブローカーを管理している。

また、2013年10月、商標ブローカーが未登録商号を先に商標登録し、零細業者に和解金を要求する行為を防止するため、当該商標が出願される前から使用されていた企業の名称や商号に対しては、商標権の効力が及ばないことにする商標法を改正した。

将来的には、特許庁の持つビックデータの分析により商標ブローカーの出願・登録における行動パターンを類型化し、商標ブローカーのリストが自動的に搭載される仕組みを開発する等、効率的にブローカーを管理する予定だ。

具体的には、関係のない複数の業種への出願、出願後の取下げ、登録後の商標権移転又は使用権契約等が繰り返し行われる場合や、他人商標模倣の理由から拒絶された回数が一定以上である場合には、自動的にブローカー疑い警報が出されるようにし、その場合はさらに綿密な審査を行うことでブローカーを最初から遮断するシステムを構築する計画だ。

特許庁のチェ・ギュワン商標デザイン審査局長は「商標ブローカーによる抜け駆け出願・登録が増えると、零細業者だけでなく普通の商標権者も誤解される等、商標秩序が乱れかねない。今後も商標ブローカーの商標権濫用行為を根絶するために努力していく方針だ」と述べた。

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