知的財産ニュース 米国特許紛争、訴訟戦より「武力化」で対応

2015年10月23日
出所: 電子新聞

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「全面戦から奪取戦へと、訴訟より武力化」

10月21日、ソウルの科学技術会館で開かれた「米国特許紛争から生き残る方法」セミナーに参加した在米特許専門弁護士らはこのように口を揃えた。最近、米国内の特許紛争に急激なトレンドの変化が起きているということだ。

写真:「米国特許紛争から生き残る方法」セミナーの様子

ロープス&グレー(Ropes&Gray)のスティブ・バウクマン弁護士は、訴訟よりは相手の特許を無力化する「特許無効審判手続き」(IPR·Inter Partes Review)の活用を提案した。

バウクマン弁護士は、「IPRは戦いを止め、敵の武器を奪い取ることだ」とし、「特許侵害訴訟を提訴される場合、これを中断し、まず相手の特許を無効化する方法を探すこと」と強調した。

IPRは、一般侵害訴訟に比べ費用と時間が省かれる。実際、米国の特許法律市場では最近、IPR活用無効化事例が着実に増加している。米国内の特許訴訟が減少し続けると予想される理由もIPRのためだ。


「IPR200%活用法」について発表しているスティブ・バウクマン米国ロープス&グレー弁護士

「特許侵害警告状対応法」というテーマで講演を行ったGlaser Weilのアンドリュージョン弁護士は、侵害警告状には「無応答」が最善と強調した。

ジョン弁護士は、「特許侵害警告状を受けたとき、誤って対応してしまったら、今後の訴訟・和解手続きにおいて不利な立場に置かれる怒れがある」とし、「専門家と相談する前までは、どんな措置も取らない方が良い」とアドバイスした。

ロープス&グレーのチョン弁護士は、「特許だけでなく、営業機密紛争のリスクも増加している。他企業の技術や方法、公式、アイデア等、営業機密を不当に活用して利益を挙げる場合、米国では刑事処罰対象となる」と警告した。

続いてチョン弁護士は、韓国企業はIP戦略管理が不十分であるため紛争に巻き込まれるリスクが高いだけに、特許だけでなく、営業機密管理にも格別な注意を払うべきだと述べた。

また、「韓国企業の不十分なIP管理を補完するために、攻撃的な特許戦略を取らなければならない」と加えた。

最後の発表を行ったDLA Piperのアンドリュー・シュワーブ弁護士は「巨額の特許訴訟費用を減らすためには、初期に費用の半分以上を投じなければならない」とアドバイスした。IPRのような制度を利用し、訴訟の初めに敵を制圧した方が効率的だという理由からだ。


「米国特許紛争から生き残る方法」セミナー参加者が発表者の講演を聞いている

韓国電子情報通信産業振興会(KEA)特許支援センターの主管で開かれた同セミナーには、国内法務法院の弁護士・弁理士、業界専門家約200人が参加した。

ヤン・ソ・ヨン記者 syyang@etnews.com

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