知的財産ニュース IP Hub Court推進委員会、特許法院の発展に向けた青写真を完成

2015年11月18日
出所: 韓国大法院

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IP専門裁判官の導入、特許法院IP紛争解決センターの設立等、特許法院の発展に向けた写真を完成

IP Hub Court推進委員会の活動終了
最後の会議でIP Courtの専門性強化及び未来発展戦略を議決

  • 特許法院の裁判官勤務期間を現行の2~4年から4~6年に延長する等、専門性強化策について議論及び議決
  • 特許法院に知的財産紛争解決センターを設立し、調停・仲裁等、代替的紛争解決制度(Alternative Dispute Resulution, ADR)を利用して国際IP紛争の一回的解決を目指すOne-Stepセンターの機能を果たす方法について議論及び議決
  • 長期的に国際IP紛争でテストベッドの役割を担い、国際紛争解決の基準点となり、アジアIP紛争解決機構の設立に韓国が主導的役割をするための未来発展戦略を議論
  • 大法院は、国際裁判部、電子訴訟の国際的活用、予測可能な訴訟手続きの実現、証拠調査の実効性強化、進歩性審理の強化、損害賠償の適正化等を含むこれまでの議決事項を積極施行する予定
  • 技術大国の基盤及び未来司法のモデルとなるIP Hub Courtの実現に向けた努力に関心や支援が必要

IP Hub Court推進委員会最終会議の議題
→ IP Courtの専門性強化及びIP Hub Courtの実現に向けた未来戦略

案件1:
裁判官の専門性強化
案件2:
IP紛争における効率的な代替的紛争解決制度(ADR)の拡大
案件3:
IP Hub Courtの実現に向けた未来発展戦略

裁判官の専門性強化

  • IP事件担当裁判官の補任段階から裁判官の専門性、理工学的素養、国際的感覚等、専門性強化のための最適の裁判官を補任
  • 長期勤務による専門性強化にむけ、裁判官の一般的な循環補職原則を超え、IP専門裁判官モデル、高等法院裁判官モデル等を結合した人事基準を策定
  • 特許法院裁判官の勤務期間が現行の2~4年から4~6に延長され、長期勤務により経験及び専門性増大
    特に、特許訴訟管轄集中法案が2016年1月1日から施行されることにより、特許法院は現在の審決取消訴訟だけでなく、損害賠償、販売差止等、特許侵害事件に対しても控訴審を専属担当→IP事件を集中的に担当することで高度な専門性を蓄積可能
  • 大法院は、裁判部の技術的判断を補助できるよう、2015年10月、博士級以上の優秀技術人材7人を採用する広告を掲載(現在、面接段階)→書記官2人、事務官5人と、書記官級人材を直接選抜するのは始めてで、IP裁判の専門性強化に向けた破格的な支援となる
  • 2016年にも博士級以上の優れた技術人材10人余りを事務官級以上待遇で追加選抜する予定
  • 国際機構等にIP専門裁判官を派遣する等、IP担当裁判官の専門性及び国際性強化に向けた努力を支援

IP紛争における効率的なADRの拡大策

  • IP紛争は高度な専門性、紛争の国際性、営業秘密保護の必要性等の特性から判決以外に調停、和解、仲裁等、代替的な紛争解決策により紛争を迅速且つ効率的に解決する必要性がある
  • IP訴訟手続きで、ADR活用を拡大するために、予測可能な争点別審理(IP Hub Court推進委員会第3回会議の議決事項)、特許法にADR根拠規定の新設等、立法的且つ事務的改善策を推進
  • 特許法院に知的財産紛争解決センターを設立し、調停や仲裁等、様々な紛争解決方法を活用し、ADR関連研究及びPRを継続する→韓国型ADR制度を整備するとともに国際IP紛争の一回的解決を目指す
    日本、シンガポール等、アジア各国は、アジア紛争解決機構の派遣を巡り、懸命の努力を注いでいる→これへの備えとして、アジア紛争解決機構の母体に成れる知的財産紛争解決センターを活性化する必要性がある

参考事例:各国の法院付設紛争解決センター

  • EU統合特許法院(Unified Patent Court, UPC)
    → UPC付設特許仲裁調停センターが設置・運営される予定(リスボンとリュブリャナの2ヵ所予定)
  • 米ニューヨーク州
    → 州法院付設の地域紛争解決センターが順調に運営されている
  • 米アラバマ州
    → 州大法院付設の紛争解決委員会と紛争解決センターが順調に運営されている

IP Hub Court実現に向けた推進委員会の活動

  • 2015年6月4日発足及び第1回会議 → 立法部、行政部、司法部、産業界、科学技術界、法学界、弁護士及び弁理士団体等が参加
    • 裁判所が主導するのではなく、各界のIP関係機関から知恵を集める開放型議論機構
  • 2015年6月29日第2回会議 → IPCourtの国際化‐国際的アクセス向上
    • 英語弁論及び英語証拠提出等の許容や判決文が英語で提供される国際裁判部の設置を議決
    • 外国在住の証人等に対する遠隔映像尋問及び外国人当事者のための英文記録閲覧ホームページ等、電子訴訟の国際的活用策を議決
    • IP Courtの国際的交流の拡大等によるステータスの強化策を議決
  • 2015年8月17日第3回会議 → IP訴訟の強化1-グローバル基準を先導するIP訴訟手続き
    • 特許訴訟手続きの内規制定及び公開、特許訴訟の事件管理マニュアルの公開及び争点別審理手続き等、予測可能で迅速且つ公正なIP訴訟手続きの実現対策を議決
    • 主張証明責任の厳格な適用、専門家証人及び専門審理委員の拡大、事後考察の防止等、進歩性審理の充実化対策を議決
    • 特許明細書段階から訴訟用語純化及び改善、教育プログラム整備、特許用語ポータルの解説等、特許訴訟用語の改善策を議決
  • 2015年9月25日第4回会議 → IP訴訟の強化2-IP権利者に対する適正な保護
    • 書類提出命令対象及び範囲の拡大、提訴前証拠調査手続きの導入等、証拠調査手続きの実効性強化策を議決
    • 特許鑑定人制度の整備、計算勘定人等、専門家の参加拡大、訴訟費用の現実化、悪意のある技術奪取を防止できる水準の賠償等、損害賠償適正化方法を議決

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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