知的財産ニュース 特許庁、中小企業の職務発明補償制度の導入・運営に対する支援を本格化

2015年4月23日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、職務発明補償制度運営の優秀企業を選定・支援し、制度を導入・運営する中で企業が経験する問題の解決を支援するため、「2015年度職務発明活性化事業」を本格的に施行する。職務発明補償制度を導入・運営する中小企業の場合、優秀人材の離脱を防止することはもちろん、「補償金に関する法人税および特許手数料の減免、政府事業に関する加算点の付与」などの特典が与えられる。

職務発明補償制度は、雇用契約や勤務規定などに従業員の業務上発明を企業が承継するように規定して従業員に正当な補償をする制度だが、国内企業における職務発明補償制度の導入率は、2014年度ベースで51.5%に過ぎない状況だ。
※最近3年間の職務発明補償制度の導入率の推移:'12年43.8%、'13年46.2%、'14年51.5%(出処:2014年知識財産活動の実態調査)

これは制度の必要性を認識していない、あるいは制度導入の必要性は認識していながらも企業の負担増につながると認識しているか、導入の方法が分からないためだと分析されているだけに、企業の認識転換が制度拡散のキーとなっている。

職務発明補償規定を導入していない理由

区分

企業の認識不足※※

導入方法が

分からない

その他職員との

公平性

別途の

インセンティブを提供

割合

49.6%

26.8%

9.8%

12.1%

※出処:2014年知識財産活動の実態調査
※※補償金支給の必要がない(17.0%)、導入の意志がない(21.0%)、負担になる(11.6%)

特許庁は、職務発明補償制度の導入率を高めるため、2015年職務発明活性化の事業者を韓国発明振興会に再選定し、制度の必要性に対する広報、職務発明補償の優秀企業認証、中小企業向け支援などを集中的に推進する。

まず、知識財産活動の力量が比較的に脆弱な中小・中堅企業を対象に制度の必要性(職務発明紛争の予防、優秀人材の離脱防止の効果)と税金減免の特典(所得税法と租税特例制限法に基づいて企業と従業員両方の税金を減免する特典)などを積極的に広報し、企業CEO会合を活用した地域別のCEO説明会を開くほか、職務発明専門の相談窓口制度を運営する計画だ。

また、職務発明補償優秀企業の認証を最大150社まで拡大する。職務発明補償優秀企業の認証とは、職務発明補償を率先して実施する中小・中堅企業を「職務発明補償優秀企業」と認め、その認証を受けた企業に様々なインセンティブを与える制度だ。優秀企業の認証を受けた企業には、特許・実用新案およびデザインの4~6年次登録料を50%まで減免する特典を提供し、別途の手数料なしでも優先審査を申請することができるほか、特許庁・中小企業庁・未来創造科学部の支援事業に参加する際に加算点を与える予定だ。

最後に、中小・中堅企業が職務発明補償制度を導入・運営する中で経験する問題の解決を支援するため、職務発明の専門家を各企業に派遣して「企業診断→制度導入→問題解決」の全プロセスに対してコンサルティングを行う中小・中堅企業向け支援を実施し、職務発明ホームページ(employeeinvention.net)にOn-lineコンサルティングの窓口を立ち上げるとしている。

特許庁産業財産政策課のキム・ヨンソン課長は「より多くの中小・中堅企業が職務発明補償制度を導入して多様なインセンティブを得て、優れた知的財産を創出することで企業を成長に導いていけるように様々な支援を施していきたい」と述べた。

詳しい内容については、職務発明のホームページ(employeeinvention.net)または韓国発明振興会(02-3459-2850)にて問い合わせできる。

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