知的財産ニュース 司法府も特許侵害訴訟における損害賠償金額の現実化に

2015年4月26日
出所: 電子新聞

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立法部に次いで司法部も特許侵害訴訟における損害賠償金額の現実化に乗り出す。国内中小企業が海外で特許侵害訴訟に巻き込まれたとき、国内の特許法院で公正な裁判を受けられるようにするという趣旨だ。

IPサービス協会が開催した「IPリーダーズフォーラム4月定例会」で講演を行った特許法院のカン・ヨンホ院長は、韓国特許市場において侵害訴訟の損害賠償金額を現実化するための研究会を発足し、年内を目途に調整案を提示すると述べた。

カン院長は「韓国の損害賠償金額が少ないという事実は、IPハブ国家への跳躍に足かせとなっている。その解決に向けて‘事実と充実’という研究会が発足しており、下半期中に米FCBAなど知識財産権に関する国際カンファレンスなどに参加してリサーチを行い、損害賠償金額の調整案を示す計画だ」と述べた。

また、「現行の制度のように特許侵害に遭った企業が相手企業の故意的な過ちや損害事実を立証するのではなく、侵害した企業で資料を提出する‘一括証拠提出制度’と未履行の際に適用するペナルティ制度を導入する方向に改める必要がある」と説明した。

侵害訴訟の第1審と第2審を特許法院で進める「管轄集中」も欠かせないという。

カン院長は「特許法院で損害賠償事件に対して上告したり、ガイドラインを示したりすると判決を履行する地方法院でも同調すると思う。今年中に管轄集中が成立してこそ特許法院がグローバルIPハブに跳躍する動力を得られる」と述べた。

さらに、裁判の質を高めるなどの取り組みも進めている。最近、特許法院は理系の陪席判事の割合を高めた。現在特許法院内の陪席判事8人のうち5人が理系だ。裁判時の特許技術に対する理解が深まると思われる。

サムスン‐アップルの特許侵害訴訟のように象徴性が強い訴訟に対する審理も強化した。今月21日をもって特許法院は院内に2の特別部を構成した。カン院長が裁判長を担い、部長判事2人が陪席判事となる。

カン院長は「30年経歴の裁判長と20年経歴の陪席判事で構成された特別部署制度は、全国の法院の中で初めて行われる試みだ。特別部で処理する事件は、より慎重に裁判するということを対外的に知らせる意味もある」と説明した。

チョン・ミナ記者

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