知的財産ニュース EU-韓FTA、暫定適用から全体発効へ

2015年12月13日
出所: 産業通商資源部

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2011年7月1日以来、4年5カ月間暫定適用状態にあった欧州連合(以下EU)・韓国事由貿易協定(以下FTA)が12月13日に全体発効する。
※EU-韓FTA協定:第15.10条(暫定適用)に基づき、韓国国会の批准同意完了とEU閣僚理事会の承認により、2011年7月1日以来暫定適用状態

これは、今年EU-韓国首脳会談(9月15日、ソウル)の共同言論発表文に従い、年内全体発効を推進することにした両首脳間合意の後続措置事項である。
※EU-韓両側は10月15日に国内手続きを完了、書面通知文の交換を完了
EU-韓FTA協定:第15.10条第2項により、書面通知文の交換日から60日か経過した12月13日に全体発効

EU-韓FTAが全体発効することによって、EU理事会の決定により暫定適用期間の間に効力が除外されていた文化協力議定書及び知財権刑事執行一部条項も発効されることになる。
※EU-韓FTAは第15.10.5条により、協定の一部規定について暫定適用を排除できるよう規定し、2010年9月EU理事会の決定により一部の条項は未発効

EU-韓FTA全体発効による追加の適用規定

  • 文化協力議定書

    芸術家・文化専門家・実演者間の協力、知聴覚共同政策協定関連協力、放送・公演・芸術・出版・文化財等に関する協力等

  • 知財権刑事執行

    商標権・著作権・著作隣接権の侵害、地理的表示及びデザインの偽造時に刑事処罰手続き及び処罰の類型(資産押収、懲役型、罰金型等)を規定

EU側はFTA等の通商協定締結時、手続きの非効率による協定発効の先送りを防止するため通商暫定適用方式を活用している。
EU-韓FTAの場合、協定署名国である27のEU加盟国における国内批准が国別にそれぞれ進められ、EUの排他的権限である共同通商政策(関税及び非関税措置等)は2011年7月1日に暫定適用方式により発効した。
※EU-韓FTA署名国(27カ国)批准状況:2011年(チェコ、ハンガリー等9カ国)、2012年(英国、スペイン等9カ国)、2013年(ドイツ等3カ国)、2014年(フランス、ベルギー等6カ国)、2015年(イタリア)
※※現在EUの加盟国は、2013年7月加盟したクロアチアを含めると計28カ国となる。

資料1:EU-韓FTA全体発効時、追加適用される条項

背景

  • EU韓FTAは、協定の一部規定について暫定適用を排除できるように規定し、2010年9月のEU理事会の決定により一部条項は未発効
    ※(EU韓FTA第15.10条第5項第ロ号)この協定のある規定が暫定的に適用できない場合、暫定適用ができない当事者は他方の当事者に暫定適用できない規定を通知
  • 2015年12月13日付で、暫定適用期間の間に効力が除外されていた文化協力議定書及び知財権刑事執行の一部条項に対する適用を拡大

知財権刑事執行関連条項

EU韓FTA協定文第10.54条~第10.61条

  • 商業的規模の故意的商標偽造、著作権及び著作隣接権の侵害、地理的表示及びデザイン偽造の場合、刑事責任を導入及び処罰等を付与
  • 知財権侵害時、刑事手続き及び処罰類型の規定
    偽造等、知財権侵害行為に関連する資産の押収、懲役型又は罰金型、第3者の権利保護等

文化協力関連条項

EU韓FTA文化協力議定書第4条第3項、第5条第2項、第6条第1項~第2項、第6条第4項~第5項、第8条、第9条、第10条

  • 芸術家とその他の文化専門家及び実演者間の協力
  • 韓国とEU加盟国間の新たな視聴覚共同制作協定関連協力
  • 祝祭、セミナー等による視聴覚活動の増進、放送分野協力の増進、技術装置及び設備の賃貸の増進、視聴覚資料のデジタル化増進
  • 公演芸術、出版、文化財及び歴史的遺産に対する保護に向けた協力の増進等

資料2:EU-韓FTA発効に向けた国内手続き

図:EU-韓FTA発効に向けた国内手続き

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