知的財産ニュース ドライアイ関連特許の出願動向

2015年11月30日
出所: 韓国特許庁

5192

最近、スマートフォンやパソコンを使う人口の急増に伴い、ドライアイ患者も増加し続けている。国内ドライアイ患者は、2004年の97万人から2014年には214万人へと、10年で2倍以上増加した。[1]

ドライアイは、涙の不足や涙の構成成分のバランスが取れていないことが原因となる。ドライアイが発症すると、目の痛みや砂が入ったかのような異物感が生じ、疲れやすくなり、よく充血するという症状が出る。

ドライアイは完治が難しいとされる難病だが、治療技術の開発や関連特許の出願は着実に行われてきた。

特許庁によると、ドライアイ関連国内特許出願は2004年の9件から2014年2倍以上増加した。同期間PCT出願[2]は、2004年24件だったが2014年には30件に増加した。

ドライアイの症状が激しいときに使用される人工涙液や抗炎症剤の以外に、涙分泌を促進する薬物の開発も徐々に進んでいる。

代表的なものとして世界初のドライアイ治療剤である「レスタシス」があるが、その特許が今年5月満了されることを受け、国内の複数の製薬会社は同じような効能を持つ改良新薬をすでに発売している。また、米インスパイアー社が開発した「ジクアス」点眼液も韓国では2番目のドライアイ治療剤として認められ、市販されている。

ドライアイの治療に向けた努力は、治療医薬品の開発だけでなく、治療機器や診断技術、コンタクトレンズ関連技術の開発や特許出願にもつながっている。

国内出願動向を見ると、韓国の中小企業は主にコストの低いドライアイ治療機器の開発に重点を置いていることがうかがえる。しかし、技術開発の国際的動きを示すPCT出願動向を踏まえると、ドライアイ診断技術やコンタクトレンズ関連技術の開発にもっと積極的に取り組む必要があると思われる。


注記

[1] 大韓眼科学会資料
[2] 特許協力条約(PCT)による出願で、一つの出願書の提出により、全世界加盟国(現在148カ国)に同時に出願した効力を持つ

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195