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知的財産ニュース 第14回韓国IPGセミナー(特許庁委託事業)を開催しました!

2015年9月1日

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第14回韓国IPGセミナー(特許庁委託事業)を開催しました!

去る6月30日、ソウルジャパンクラブ内会議室において、第14回韓国IPGセミナーを開催しましたので、ご報告いたします。今回のセミナーでは、武内IPGリーダーからの開会挨拶の後、セッション1で2名の韓国特許庁のご担当者から韓国政府の模倣品対策及び特許/営業秘密政策について紹介いただき、セッション2で韓国における模倣品対策のポイントを、セッション3で営業秘密流出対策のポイントをそれぞれ紹介いただき、最後に事務局から知的財産分野の2014年SJC建議事項に対する韓国政府回答について説明を行いました。以下に概要をご報告します。

セッション1

セッション1では、まず産業財産調査課の成昶浩(ソン・チャンホ)課長から、商標権特別司法警察隊による「模倣品取締り執行現況及び今後の戦略」についてご講義いただきました。韓国特許庁では、2010年9月から司法捜査権を有する商標権特別司法警察隊を組織し、ソウル・大田・釜山に事務所を置いて、検察・警察・自治体・韓国知識財産保護協会等と協力して以下の職務を遂行しています。

  • 有名商標模倣等の不正競争行為(不正競争防止法)の取締り
  • 商標権/専用使用権侵害行為(商標法)の取締り

商標権特別司法警察隊の取締り実績は、取り組みが功を奏して年々増加しています。

今後は、以下の4点について重点的に取り組んで行く計画とのことです。

  1. 国民の生活に影響が大きい模倣品等に対する企画捜査の強化
  2. オンライン模倣品取締りの強化、SNSを利用したモニタリング等
  3. 警察庁、関税庁等の関連機関との協力強化
  4. 主要事件の企画報道及び取締りの現場報道等による広報強化

次に、産業財産保護政策課 鄭載勳(ジョン・ジェフン) 書記官より、「特許保護制度の現況及び政策方向」についてご講義いただきました。
特許侵害訴訟の場合は、原告による侵害立証が難しい上に、韓国では特許権侵害の認定要件が厳しく、損害賠償額も他国に比べて低いという点が指摘されています。その結果、特許権保護が不十分となる場合は、故意の侵害を助長する可能性が高くなります。

上記のような課題認識を受けて、2014年12月に国家知識財産委員会が制度改善の基本方向を発表し、2015年2月には特許ハブ国家推進委員会で特許法改正案が発議されました。
損害賠償制度の改善について、実際の損害として認定された額の「3倍を超えない範囲で」損害額を認める懲罰的損害賠償制度の導入が国会で審議されています。また、証拠提出制度の強化については、営業秘密であることを理由に提出を拒むことができないよう、法院が提出を拒否する正当な理由があるかを判断するために資料の提出を義務化(In-Camera審理)するなどの内容が含まれています。

韓国の営業秘密保護制度については、2014年1月に、これまで訴訟において営業秘密であることの認定を受けることが難しかったことを受け、営業秘密成立要件のうち、秘密管理性要件が緩和されました。
今後の制度改善のために検討されている事項としては、「刑事処罰対象行為類型の具体化」及び「訴訟における営業秘密保護のための非公開審理制度」があります。

セッション2

セッション2では、金&張法律事務所の金容甲(キム・ヨンカップ) 弁護士により、「韓国における模倣品対策」についてご講義いただきました。
模倣品問題については特許、デザイン、商標等の権利を取得していない場合には、より状況が難しくなりますが、そのような場合の可能な対応策として、不正競争防止法による対応を中心に説明がありました。不正競争防止法において模倣品対策のために特に有用な規定には次の3つがあります。

  1. 著名な識別標識(不正競争防止法2条1号イ目)

    「国内に広く認識」されている「商品を識別するために付与された各種標識(名称や商品の容器・包装等)」を模倣した場合にこの条文が適用可能となります。「商品の容器・包装」の場合は、その形状と構造又は色等が持つ差別的特徴が、「顕著に個別化されるに至っている」、つまり、「使用による識別力(セカンダリ・ミーニング)を取得している」ことが求められます。

  2. デッドコピー(2条1号リ目)

    「他人が製作した商品の形態(形状・模様・色彩・光沢又はこれらの結合)」を模倣した場合にこの条文が適用可能となります。ここでいう模倣は、「他人の商品の形態と実質的に同一の形」とされており、上記1.の著名標識の場合と異なり、出所標識としての識別性や周知性は必要とされません。しかしながら、「模倣の意思」についての立証(間接事実で良い)が必要であり、保護期間は商品の形態が備えられた日(試作品の製作日も含む)から3年間、商品が「通常的に持つ形態」は対象外といった条件があります。

  3. 不正競争行為の一般条項(2条1号ヌ目)

    これは、2014年1月31日に施行された新しい条項であり、既存の条項でカバーされないような不正競争行為にも広く網をかけるものです。この条項では「他人の相当な投資又は労力により作成された成果等を公正な商取引慣行又は競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用することにより、他人の経済的利益を侵害する行為」を不正競争行為と定義しており、特記すべき事項としては以下の点があります。

    • 使用による識別力(セカンダリミーニング)不要
    • 成果(物)認定の柔軟性
    • 混同可能性不要
    • 権利行使期限の明文制限なし

    事例としては、ソフトクリーム店の営業形態に関し、(1)外部看板、(2)メニュー、(3)ソフトクリームのコーン受け、(4)乳牛をあしらったロゴ、及び(5)商品の陳列状態の5つの観点で類似が認められた結果、不正競争行為が認定されたものがあります。現在控訴中ではありますが、不正競争行為の一般条項が適用された初めての判決であり、看板やメニューなどの店舗の装飾(いわゆる「トレードドレス」)が保護すべき対象と判断されたことでも、注目すべき判決と言えます(以下の写真では、看板と陳列状態の一部のみ表示。左がオリジナル店舗、右が後発店舗。)。

    事例:ソウル中央地方法院2014. 11. 27言渡2014ガ合524716判決

セッション3

セッション3では、韓洋国際特許法人の金世元(キム・セウォン) パートナー弁理士により、「韓国における営業秘密流出対策」についてご講義いただきました。
韓国における技術漏えいの統計(産業機密保護センター公表)を見ると、技術競争力の高まりに呼応して、産業スパイ事件の件数が高くなっています。また、韓国の大企業よりも中小企業が被害を受けている割合が高くなってきており、分野別には近年精密機械分野での被害の割合が高い状況です。
さらに、技術流出の主体は元・現職員などによる内部漏洩が80%と高く、その動機としては、金銭的誘惑・個人の営利が78%、人事・処遇への不満が13%となっています。

韓国における営業秘密侵害事件は、刑事事件の割合が多いことが特徴的であり、2005~2010年までの訴訟統計では、刑事約6割、民事約4割となっています。ただ、営業秘密侵害は侵害立証が難しく、刑事事件の有罪率が約8割と一般の刑事事件(有罪率99%)よりも低くなっています。民事事件の認容率についても約4割であり、秘密管理性等の営業秘密要件が認められなかったために棄却されている例が目立ちます。また、犯行で得る利益に比べて、刑事処罰の水位が極めて低い(懲役刑のうち、執行猶予の割合が非常に高く、罰金も少ない)こと、営業秘密の侵害事実及び侵害額に対する立証も容易でないため、十分な補償を受けることができないことが問題点として指摘されています。
このため、企業の戦略として、刑事告訴を提起して公権力による証拠収集を考慮する(十分な証拠の確保)こと、仮処分申請を積極的に活用する(侵害拡大の防止)ことが挙げられます。

図:事件の類型別分布グラフ図:無罪の理由別分類

また、営業秘密侵害が生じる前に予防的に利用できる制度としては、営業秘密原本証明制度(営業秘密情報の原本性を日付と共に証明する制度)があり、紛争になった際に保護すべき営業秘密情報自体の立証が容易化することを期待できます。この他、判例では民事上の禁止請求権の内容として転職禁止請求が認められています。
営業秘密の流出を防止するための予防策に関して、日本企業の技術漏えい防止対策の特徴として、海外拠点の対策が国内拠点と比べて遅れていることが注目されます(経済産業省「ものづくり白書(2010)」より)。したがって、海外拠点における対策(営業秘密をブラックボックス化する等)に留意すべきでしょう。
一般的には、営業秘密の分類及び管理をしっかりと行うこと、社内規則の整備、人的・物的管理の重要性が、判例からも伺えます。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:浜岸、曺(チョウ)、柳(ユ)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195

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