知的財産ニュース 海上安全技術に関する特許出願が増加傾向

2015年12月8日
出所: 韓国特許庁

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セウォル号事故以降、海上安全への関心が高まったことから、海上災害に予め備え被害を最小限に抑える海上安全技術に関する特許出願が増加している。

特許庁によると、去年の海上安全技術出願件数は計164件という。これは2013年の127件に比べ29.1%が増加した数値となる。

海上安全技術とは、災害を予防するための技術、または災害発生時に人間の生命を救う等、被害を最小限に抑えるための技術を指す。

海上安全技術は大きく船泊システム技術と船泊装置技術に分かれる。船泊システム技術には、船泊交通制御、海上通信システム、船泊警報システム、データ処理技術等があり、船泊装置技術には船泊換気、船泊牽引、船泊火災予防技術等がある。

船泊システム技術のうち代表的な技術としては、船泊の現在位置と航路を比較して航路離脱可能性を予め知らせる船泊航路離脱防止システムがある。最近では、船泊の航路別海上状況に反映して警告範囲や危険範囲を設定する等の方法で航路離脱による事故発生の可能性を軽減する技術が出願されている。

また、船泊事故発生時、事故発生地の位置情報、レーダ情報及び映像情報を自動的に抽出し、海上交通管制システム(VTS)に転送する技術も出願された。同技術を活用すれば、事故関連情報が迅速に海上交通管制システムに届くため、救助人員の要請等が速やかに行われ、人的被害を最小限に抑えることができるものと期待される。

一方、船泊に設置されている非接触式近距離無線通信モジュール(NFC)を利用し、スマホを通じて避難経路を案内する等の避難関連技術も着実に出願されている。同技術は、事故発生時に搭乗客のスマートフォン画面に船泊内部の構造や最短距離の避難経路を表示することで、搭乗客が船泊の外部に迅速に避難することに大きく役立つものと期待される。

特許庁の関係者は「セウォル号事故をきっかけに海上安全への関心が高まり、関連技術の開発や特許出願がさらに活発化すると予想されるが、政府や関係機関もこれを積極的に後押しする必要がある」と述べた。

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