知的財産ニュース KIPO、中小・中堅企業の職務発明保証制度の支援に本腰

2014年3月12日
出所: 韓国特許庁

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中小企業のA代表は、会社が保有している特許の4~6年目の登録料を納付しようしたところ、職務発明保証の優秀企業は最大50%まで登録料の減免が受けられるということが分かった。優秀な技術力だけが生き残る道だと信じて、職務発明の保証を実施した結果、年平均約30件の職務発明は創出され、特許保有件数と売上げがともに増加している。そんな状況で特許の維持費用まで節約できたのだ。職務発明保証の優秀企業の認証を申請するA代表の足取りは軽い。

一方、中堅企業の知的財産チームのB課長は、発明振興法及び同法の施行令の改正により、今年の1月から職務発明保証制度を導入しない場合、通常実施権が制限される可能性がある。いざ補償規定を見直そうとする場合には、従業員と協議を行うなどを一定の要件が必要とされるため、何から手をつければいいのか分からなかった。そのとき、韓国特許庁がコンサルティングを通じて制度の導入から運営にいたるすべての過程を支援するという話を聞いて心強くなった。

韓国特許庁は、職務発明保証制度の優秀運営企業を選定・支援し、制度の導入・運営の過程で感じた課題を解消するため、職務発明保証の優秀企業の認証拡大、中小・中堅企業の各社に合わせた支援の強化、優秀事例の発掘などを通じた補償文化の拡大を骨子とした「2014年度の職務発明活性化事業」を本格開始するという。

まず、多数の特許権を保有している技術集約的な中小・中堅企業をターゲットにし、対象企業の30%に当たる約2千社が認証を獲得できるように支援し、2017年まで企業の70%が職務発明保証制度を導入することを目標に掲げ、優秀企業の認証を拡大する計画だ。

そのため職務発明ホームページ(www. employeeinvention.net)にオンライン認証システムを構築して申請及び発給手続きの利便性を向上する一方、認証企業に特許・実用新案及びデザインの4~6年目の登録料を50%にまで減免する優遇策をとり、優先審査申請資格を与え、特許庁や中小企業庁の8の支援事業に参加したときか点を付与する。そのほか、未来部などと協議を通じてインセンティブを与える事業の拡大を推進し、認証企業と職務発明の専門家で構成された定例協議会を運営して政策の見直し事項を常時チェックすることとした。

また、知財基盤が脆弱な中小・中堅企業が保証制度を導入・運営する過程で感じる問題の改善を支援するため、職務発明専門家を企業に派遣して「企業診断→制度の導入→問題解消」の過程についてコンサルティングを実施する。

さらに、訪問コンサルティングが難しい企業も利用できるように、職務発明ホームページに専門家の相談コーナーを新設して運営する。

また、制度の導入において重要な意思決定権者であるCEOの認識の転換を促すため、地域別にCEO会を利用して説明会を行い、中小・中継ン企業が補償規定を作成・変更できるよう、改正された法令事項を反映した「職務発明補償規定の標準モデル」を製作し配布する計画だ。

※改正発明振興法及び施行令(2014年1月31日試行)の主な事項の案内、職務発明に対する権利承継及び保証、職務発明審議委員会の構成、標準規定など

一方、昨年、韓国特許庁は、約2万5千社の中小企業に職務発明保証制度の運営マニュアルを配布した。運営の優秀事例の公募を通じてサムスン電子など10社の優秀事例を紹介した。91社の中小・中堅企業を優秀企業として認証し、そのうち50社の中小企業にオーダーメイドコンサルティングして補償制度の導入を支援した。職務発明の活性化を図るため、幅広い意見聴取を目的に職務発明フォーラムも開催した。

産業財産振興課のク・ヨンミン課長は、「より多くの企業が制度の導入を通じてインセンティブを受け、優秀な知財を創出して企業成長につなげられるよう、様々な支援を行う計画だ」と述べた。

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