知的財産ニュース 日中韓特許庁、ユーザの利便性向上に向けた取り組みへ協力

2014年11月10日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、11月10日、ソウル・パートナーズハウスにて第14回日中韓特許庁長官会合を開催し、特許審査ハイウェーの品質向上に向けて、各庁の関連統計データを相互交換し、現在、英語のみ提供している3国特許庁共通のウェブサイト(TRIPO.org)を日中韓の3言語にリニューアルすることを決めるなど、ユーザ(出願人)の利便性向上に向けた3国特許庁間の協力をさらに強化することに合意した。

※特許審査ハイウェー(PPH;Patent Prosecution Highway):同様の技術を2カ所以上の特許庁に出願した場合、一方の特許庁でポジティブな審査結果を受けると、その結果を基に他方でも迅速な審査ができるようにする制度

また、日中韓の特許庁長官は、これまで専門家グループにより行われてきた3カ国の審査・審判制度および実務に関する比較研究の結果を検討・承認して、大衆に公開する。

この度に公開される日中韓比較研究の結果には「明細書の補正基準に関する比較研究」、「明細書の記載要件に関する事例研究」および「拒絶決定不服審判に関する比較研究」が盛り込まれている。

こうした日中韓3国の審査・審判比較研究の結果は、3国の審査・審判制度および実務に対する出願人の理解を深めると同時に、韓国の出願人が中国と日本で迅速かつ便利に知的財産権を確保することができる基盤になると期待されている。

また、5大特許庁(IP5)の協力を有効に推進していくため、日中韓3国が特許制度の調和と特許品質に関する議論、そして特許分類と情報化協力の分野において緊密に協力していくことはもちろん、日中韓デザインフォーラムの持続的な開催にも合意する予定だ。

※IP5(Intellectual Property 5):世界中の特許出願の8割以上を占めている世界5大特許庁を指す名称で、韓国をはじめ、米国、中国、日本、欧州の特許庁で構成されている。

さらに、日中韓特許庁は、知財権教育の重要性に対する認識を共有し、教材や講師の交流などの協力強化およびE-learningデータも3国共通ウェブサイトで共有する予定だ。営業秘密保護分野で日中韓特許庁間の情報交換に向けた実務者レベルの議論も始めることにした。

併せて、11日には、ソウルのJWマリアットホテルで出願人、企業関係者、弁理士などの知財権関係者を対象に日中韓ユーザシンポジウムを開き、今回日中韓長官会合で合意した3カ国間の審査・審判制度および実務比較研究の結果を公開し、各国の実用新案制度を紹介するほか、職務発明や営業秘密制度、IP金融など、各国の懸案について話し合う予定だ。

韓国特許庁のキム・ヨンミン庁長は、「現在、世界各国で日中韓特許庁が受け付けている特許出願件数とデザイン出願件数は、それぞれ世界全体の41%と78%に上っており、知的財産分野において日中韓3国の協力は、極めて重要だ」と強調し、「今後、日中韓3国の緊密な協力により、特許ユーザに対して迅速で優秀なサービスを提供できるように力を入れていきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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