知的財産ニュース 夏場の電力需給問題、産業用節電技術で解決

2014年8月1日
出所: 韓国特許庁

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最近、発電設備が拡充された上、気象庁が今夏の気温を平年並みだと予想していることから、国の電力需給に余裕があるといわれているが、夏場の電力消費量が急増し、万が一、電力需要の予測が外れるか、昨年のように原発稼動が停止されるなどといった非常状況が発生すると、大規模のブラックアウトの恐れがあるため、国を挙げての節電の取り組みが求められている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、韓国の国民1人当たり電力消費量は10,162kWhと、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の8,226kWhより24%も多い。しかし、2013年の年間用途別電力消費の割合を見てみると家庭用・公共用が18.1%だった一方で、製造業とサービス業などの産業用が81.9%を占めており、産業用節電技術の開発が国の電力消費を低減させるカギにつながると見られる。

特許庁によると、この5年間(2009~2013)、用途別の節電技術に関する特許出願の動向は、家庭用・公共用が2009年の311件から2013年の132件へと、この5年間減少傾向を見せているが、産業用は2010年から2012年まで毎年250件程度で伸び悩んでいたのが2013年に390件まで増加した。これは、家庭用・公共用の節電技術は技術の成熟度が高いことから特許出願が減っている一方、この3年間の電気料金の累積引上げ率を見ると、産業用が29.4%で家庭用の9.4%に比べて3倍以上増加しており、産業界に節電技術の需要が高まっていると見られる。

産業用の節電技術は、産業用モーター、パンプ、冷凍機などの産業用電気機器の資材および配置構造を改善した「構造設計技術」と最適な動作制御による「節電制御技術」に分けられるが、最近は不要に消耗される待機電力を遮断する技術、無線通信技術を利用してリアルタイムで産業用機器の動作を制御する技術、温度・湿度・光量を制御して最適な環境を提供する技術、スマートグリッドを通じて電力使用を有効に管理する技術など、節電制御技術に関する特許出願が地道に増加している。

産業用の節電技術別の特許出願を見てみると、日本は構造設計技術が58%と、節電制御技術の42%より高かった反面、韓国は節電制御技術が59%と、構造設計技術の41%より高かった。これは、韓国が節電制御技術の開発に重きを置いた結果だといえる。一方、産業用電気機器のうち、国の電力使用量全体の40%以上を占めている三相誘導電動機の場合、米国は2011年から効率の高い3世代プレミアム級電動機を最低消費効率基準で施行しており、韓国も2015年から段階的に反映する予定であるため、電動機の最適構造設計を通じて効率を向上させる技術に対する研究開発が至急な状況だ。

特許庁の関係者は「電力需給問題を解決する実質的な手がかりとなる高効率の産業用電気機器に対する需要は引き続き高い水準を維持すると見られる上、産業用電気機器の構造設計技術に対する研究開発および特許出願の拡大が必要だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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