知的財産ニュース 災害に備えて特許微生物に対する安全管理対策を大幅に強化

2014年8月20日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、災害が発生した際に備えたリスク管理マニュアルの改編の一環として、特許微生物の寄託機関に保管されている特許微生物の毀損および流出事故が発生した際の対応マニュアルを大幅に改善するとともに、特許微生物寄託機関が備えるべき安全管理規定を新設することで、特許微生物に対する安全管理対策を強化した。

バイオ産業の中核的な結果物である特許微生物は、毀損された場合、当該微生物に関する発明の立証が難しく、特許紛争を招きかねない。外部に流出された場合は、遺伝子組み換え生物(LMO)による深刻な環境問題につながるおそれがある。そのため、これまでの特許微生物寄託機関は、特許微生物の毀損などに備えた複製体保管施設を運営し、特許庁は寄託微生物が安全に保存・管理されているかを周期的に点検してきた。

しかし、客船沈没事故などをきっかけに火災・地震などの大型災害が発生した際、不十分な初期対応による特許微生物の毀損および流出に対する懸念が浮上し、こうしたリスクを最小化するために特許庁と特許微生物寄託機関の間でリスク管理共助システムをさらに強化すべきだという指摘があった。

そこで特許庁は、特許微生物の毀損または流出事故が発生した際、複雑な上部報告システムや非専門家による対応により初期対応が遅延されたり、適切な対応措置が行われなかったりする問題点を解決するため、リスク管理マニュアルを改善した。まず専門家が適切な初期対応措置を行った後、上部に報告するという現場中心の対応システムを構築し、それと連携した特許微生物寄託機関の安全管理規定をまとめ、特許庁と特許微生物寄託機関間の共助システムを強化した。

また、特許微生物の毀損または流出時のリスク管理マニュアルと特許微生物寄託機関における安全管理規定の実効性を点検し、リスク対応力を向上すべく、1981年特許微生物寄託機関の運営が開始されて以来はじめて、災害発生時、特許微生物の毀損に備えた官民共同リスク対応訓練を6月24日から7月1日まで実施した。

特許庁と4カ所の特許微生物寄託機関が参加した今回の訓練は、特許庁のリスク管理マニュアルの実効性確保はもちろん、特許微生物寄託機関の担当者のリスク対応力を強化するとともに、機関間の共助訓練システムの基盤作りに貢献したと評価されている。

災害に備えた「特許微生物寄託機関の安全管理規定」は、国内外の関連機関でも有していない規定であり、日本の特許微生物管理・保存機関である日本特許庁・製品評価技術基盤機構(NITE)と韓国の一般微生物保存機関である研究素材中央センター(KNRRC)の要請により機関間協業のレベルで同内容を提供しているが、この安全管理規定が今後、国内外における微生物寄託機関のリスク管理に向けたガイドラインとして重要な役割を果たせると期待されている。

特許庁バイオ審査課のイ・ミジョン課長は「今後、機関間のリスク対応訓練を定例化し、乙支訓練や国内外機関との業務協調などを通じて、リスク管理マニュアルと特許微生物寄託機関における安全管理規定を持続的に補完する予定であり、特許微生物の安定的な保存とバイオ分野における知的財産権保護を強化していきたい」と述べた。

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